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・2012年9月24日(月)

中古住宅不動産契約時の売り主責任の4点セット「構造木部の不具合(腐れ)」「シロアリ被害」「雨漏れ」「排水不良」について、部分破壊し調査を行った結果を建て主に報告する。それぞれについては、瑕疵が見られなかったために問題なしと伝える。しかし、不等沈下については売り主側が瑕疵と認めるかどうかわからないが、現状を報告した。調査結果、床、壁とも傾斜角6/1000以上の部分が確認され、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性は高いと伝える。

その報告をする前に、私自身も知りたかったのでこのようなケースの場合の判例を調べてみた。ざっくり要点をまとめると以下のようになる。

1)売り主(仲介業者含む)が不等沈下を知らなかった場合→売り主に責任なし

2)売り主(仲介業者含む)が不等沈下を知っていた場合。かつ買い主に伝えなかった場合→売り主に責任あり

3)売り主も買い主も知っていた場合→売り主に責任なし

今回3)でないことは明らかである。築40年以上経過している建物で売買価格に建物の金額が入っていないことは理解できるところではあるが...。仮に本件が裁判になった場合どのように推移していくかまでは調査できなかった。建て主へは、事例として判例を添えて、参考情報として報告した。ここで、責任追及を試み時間とお金を投入するかどうかは建て主の心一つである。客観的に手に入れた情報は提供させてもらった。(基本的に私は好戦的では無い)

参考リンク:


ただ、そのまま不等沈下に目をつぶり見なかったことにして計画を進めていくわけにはいかない。(このあと出てくるかつてこの現場に関わったリフォーム業者のように知らなかったことにしてやっつけてしまうことはできない)人の命がかかっているのである。さらなる調査を提案した。それは、今後さらに不等沈下が進んでいくのか、この傾斜のまま沈下が止まるのかわからない。その判断をするために、地盤調査することを提案した。いわゆるスエーデン式サウンディング試験だ。建物周辺に調査可能なスペースがないため、1階床下を解体し家の中で地盤調査することになる。負担はかかるが、プロジェクトを進めるために、1階床解体、地盤調査は、必須であると提案した。


・2012年10月11日(火)

1階の床を解体する。施工業者から床下の状況報告が入る。現在に至るまでに数度のリフォームを行った形跡があり、その都度、不等沈下に対して内装を工夫することで沈下を矯正していた様子が判明する。わかりやすく言えば、斜めに傾いてしまった基礎と土台に対してそれを修正する床をつくる。それだけでは掃き出し窓が傾いているので、掃き出し窓も傾きにあわせて斜めに付け替えてしまう。なんたることか。愕然とするが、このようなリフォーム物件は多いののではないか。1階の床を解体するまでそれがわからなかったからである。事故物件リフォーム整形のプロの仕業であろう。不等沈下しているのを知っていながら、矯正することで、しごくまともな物件のように化粧してしまう。おそろしいことだ。だましだましのリフォームでだませているうちは良いが、いつなんどき、そのだましがきかなくなり、破綻してしまうことは明白だ。人の命がかかっている。安心して過ごせる空間に仕立てなければ、プロでは無い。そんな人の命を預かっているという認識の無い整形業者に腹が立ってくる。この物件も、きれいにリフォームして引き渡しますということだったらしい。事務所仕様に仕立てるので断ったらしいが、そのまま住む予定の場合は、さらなる嘘の上塗りをして引き渡されたのであろう。その丁寧に上塗りされた厚化粧は、本当に1階の床を解体するまではわからなかった。今後、リフォーム物件を購入する予定がある方は十分気をつけた方がよい。築年数の割にきれいなものは要注意。それなりに古いものは、それ相応に古くなっていなければならない。

下の写真わかりますか?右に傾いている基礎と土台。その上に矯正された床のあとを示す幅木が見事に平行になっていません。これでは、床を歩いただけではわかりません。丁寧にごまかされている。

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・2012年10月17日(水)

1階床を解体し建物内部でスエーデン式サウンディング試験を実施。調査結果を聞くと、全体に支持層が深いという。一般的な調査ポイント(建物4隅とその中心)の5ポイントとも支持層が10M以上という結果だった。ある一方向に建物が傾斜していたので、その方向に支持層が流れているのかと想定していたが、そうではなかった。

傾斜している方向の隣地は、6Mほど低くなっておりそこに擁壁がある。その擁壁の上に本建物が建っている。やはり、擁壁の裏側の突き固めが悪かったのか。擁壁そのものの外観は異常が見られない。大きなひび割れやはらみは確認できていない。

調査結果の地盤のゆるさから、今後も沈下する可能性はあると判断した。さて、どのように手を打たなければならないか。いろいろなことを探っていかなければなるまい。

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