揚屋(あげや)が無事に終了し、基礎工事の工程に入る。沈下が一番大きいところで、150mmほど土台から上の建物をあげた。写真に写っている部分は最も沈下が大きいところ付近だ。揚屋が終了した直後は、基礎と土台の間にスチールのパッキンを入れていただけだった。少し大きな地震が発生すると、素のままのジャッキやパッキンだけだと、建物が転倒してしまうことが想定された。施工者の監督に地震などが発生しても建物が転倒しないように工夫してほしいと指示していた。その対策が、下の写真だ。アングルでジャッキと杭頭を溶接し、地震なんかじゃ簡単にジャッキがはずれないように対策していた。
無筋の基礎がほとんどばらばらになってしまったところは、土台を支持する台座を据え基礎の中に一緒に打ってしまうことで、基礎ができあがるまでをしのいだ。
基礎工事の段取りが進んでいる間、土台から上の工事も同時進行していた。1階プランがほぼリセットされるために、構造的な補強を行う。2階より上の荷重を支えきれない梁は、鉄骨の部材で補強し、新しいプランに備えるのだ。工期的に余裕が無いので、基礎工事と大工工事が相番となる珍しい工程だ。
・2013年03月08日(金)
建物内部での配筋工事。めずらしい光景だ。既存の基礎と新設する耐圧盤は一体化し基礎としての強度をアップさせる。方法は、既存基礎の立ち上がりに差し筋(基礎に穴を開け鉄筋を差し込みケミカルアンカーで固定する)し、新設する基礎の耐圧盤と一体化させるのだ。また、揚屋で基礎と土台の間にできた隙間にもコンクリートを流し込み基礎全体と一体化させる。土台以下は、地中14M~15Mの支持層まで打っている鋼管杭とも一体化し、もうどうにも沈下しようのない方法を採用した。
基礎を固めている間に2階の床下の補強も同時進行している。新規に柱を入れるところあり、不要な柱は撤去するところあり、再生するために大きく骨を組み替えるのだ。
完成すると見えなくなるところほど、気をつかいたい。どんなに化粧をしても、骨格がしっかりしていないとすぐに化けの皮が剥がれてしまう。逆を言うと、骨格さえしっかりしていれば多少すっぴんでも安心して過ごせる優れた空間になるのだ。ここまでしっかりできてくれば、あとは苦心してデザインした図面通りに空間が現れてくるかを見守るだけになる。
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