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本すまいは、建て主のご厚意により事前予約で見学が可能です。

佐山までお問い合わせください。

m.sayama@mac.com



計画地は、神奈川県三浦半島の西海岸、海のよこ山のそばに位置する。いわゆるエッジ。海の際(きわ)、山の際(きわ)である。そのような海山エッジの場合、朝から夕方まではシーブリーズ(海風)が吹き、夕方から夜にかけてはランドブリーズ(山風)がきちんと毎日吹く。低気圧による風が無くても、上昇気流差による微風が常に吹いている。エネルギーを浪費せず「なつをもってむねとすべし」を目指す住宅において、これほど都合の良い場所はない。エコロジカルな生活を望んでいた建て主に、この計画地ならではの「風の建築」を提案した。


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計画地を中心とした地図から風の向きを読む。西と南に海岸線。北に山。近くに東から西にかけて川が存在する。計画地に隣接する遊歩道(暗渠)は、東西ライン。どうにも一定の風向きが見えてこない。シーブリーズ、ランドブリーズとも風の道がみえてこない。あえて想定するなら、東西ラインの遊歩道沿いに風が通り抜けるだろうか程度。そこで、計画地の隣地の様子を読みながら、開けている方向からは微風がやってくると想定することにした。その方針により、北側、東側、南に隣接する遊歩道の東西ラインから風を絡めとることとした。つまり、どこから微風が吹いてもすまいの中に取り込んでしまおうという欲張った計画なのだ。



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その計画は、必要なスペースを分棟配置とし、あえてそれらを平行配置とせず、ずらすことにより風を呼び込むメガホンスペースをつくることとした。3棟配置の3つのメガホンスペースは、北からのランドブリーズ、南からのシーブリーズ、東からの東西ライン風を捕まえる夏のしつらえとして計画されている。


冬のしつらえとしては、基礎下に深夜電力を使った電熱パネルを挿入し余剰エネルギーを活かした全館暖房と産業廃棄物あつかいの倒木を活かした薪ストーブを計画した。また、ひさしの出をコントロールし、太陽熱の直接熱取得も狙った。冬は室内に日差しを入れ、外壁と同じモルタル内壁に蓄熱蓄熱させる。夏はひさしが日陰をつくりモルタル内壁はひんやりとする。ひさしと内部モルタル壁はシーズン通して快適な温度調整装置として機能する。


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■ 概要

所在地/神奈川県三浦郡葉山町
主要用途/専用住宅
家族構成/大人二人+子供一人+ネコもひとり

■ 設計

佐山建築研究所
担当 佐山 希人 鈴木 香住

■ 施工

山洋工業 土橋 明

■ 工程

設計期間 2009年10月〜2010年12月
工事期間 2010年12月〜2011年6月


↓ 概要板(A4 pdf書類 43.6MB)をダウンロードする



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