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・2012年12月19日(水)

いよいよ内部の解体工事が始まった。内部のほとんどを解体し、構造をむきだしにする。その構造体を把握し、建物の再生方法、補強方法を計画する。設計者としては、もっとも大切なプロセスだ。事前調査では、建物が傾斜している。さらに傾斜が進む可能性も否定できない。人の命を守るべき建築がその使命を果たさないで何の存在価値があるのか。今後、この建物の中でビジネスが展開され、そのサポートの中心的役割を果たしていかなければならないハードである。ビジネスのベースになる以前に、そこで働く人の命が守られなければならない。建築の根源的なテーマをあらためて考えさせられた。それは目に見えるデザイン以前の問題なのだ。目に見えない基礎から健康にし骨格を作り直さなければ、見える部分のお化粧の乗りも悪くなるのは明白なのだ。

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・2012年12月29日(木)

解体していくといろいろなことがわかってくる。特に感心したのは、不等沈下している建物の2階の床を丁寧に改修して床の傾きをわからなくしていたことである。かなりの傾きを修正していたので、携わった職人さんの気持ちはどのような気持ちだったのだろうか。興味がわく。『床が傾いているからレベル修正しといてくれぃ』『へい。わかりました親方!』だったのか、『親方っ!建物に手を入れず、このまま床の傾きを修正するだけでいいんですかっ!』だったのか。

ほぼすべての内装材が撤去され、構造体がむきだしになった。やはり化粧を落とすと45歳の骨格には『お疲れ様です!』と声をかけてあげたくなるほど、がんばってきていたように見えた。なんとかその老体にむち打ち、それまでの家主を護ってきたのだろう。今後、この構造体をベースに基礎から作り直し、45年前以上に若返らせ、もっともっとはつらつと長生きできるように手を入れていくのだ。再生後は、しゃきっとした姿で毅然と家主を護ってゆけるようになるだろう。

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2012年の仕事は、本日をもって終了。現場の入口に、松飾りが取り付けられていた。この施工会社の監督さんは、年越しの現場にはいつも飾っている。気持ちが大切だ。




いよいよ年明けから、本格的に改修工事が始まる。


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