●2000.02.28

お金の着地点か見えない中、確認申請の期限が迫ってくる。
住宅金融公庫を使っているので、公庫の申し込みの時点から、確認申請はいつまで、現場審査はいつまで、と期限が決められる。
一昔前は、変更の届けを出せば、それですんだのだが、世知辛い世の中、そうはいかなくなった。
お金の着地点は、いずれ見えてくる、いや!いずれ決着させると心に言い聞かせ確認申請の書類を整える作業に取りかかった。

所員が5人ほどいたときは、計画を練る時間を多く使い、確認申請の書類を整えるのは、二日でやれ!と命じていた。
まるまる二日使えば、何とかできるのである。
かつて、独立したてのころは、そうやってきた。
しかし、ほんとのところ、忙しくて二日でやったのではないのだ。
白状すると、夕方になるとクロダイを狙いにいきたくて、テキパキ仕事をしていたのだ。
ニンゲンやればできるのだ。

しかし、今回白状すると、昼間都内に打ち合わせに行き、暗くなって帰ってきて、それから作業なので結構しんどかった。
しかし、マックに向かい、図面と格闘するのは、楽しいことなのだ。
取りかかるまでは、なかなか時間がかかるのだが、入り込むと時間を忘れてハイになっていく。

一度、平野さんの奥さんに「佐山さんって、子供の頃どんなコトして遊んでました?」って聞かれたことがある。
「う〜ん、学校から帰るとランドセル玄関から家に放り投げて、山に入っては、木に登りヤマブドウを食べたり、イチゴ畑に行っては、こっそりイチゴを腹一杯食べたり、沢に行っては沢ガニを捕ってきて家で茹でてもらって食べたり・_・_・_・・・・」
「あっ、雨の日なんかは、プラモデルを組み立てるが好きでしたねぇ。おもちゃ屋の一番見栄えがして、高いところにある、ウルトラマンのプラモデルがほしくてほしくてたまりませんでしたねぇ。一万円だよ、っておもちゃ屋のオジサンが言ってたのを覚えていますねぇ。」

「やっぱりねぇ〜。」と奥さん。
「はい〜!」と私。

何がやっぱりなのかよくわからなかったのだが、変に納得してしまった。
今思うと、頭の中で構想して、図面にしていく作業は、プラモデルを組み立てる作業に似ている。
原寸ではなく、1/100や1/50の世界で組み立てていく、しかし、頭の中では、1/1の原寸の世界でイメージされている。
プラモデルも建築も同じなのだ。
怪獣が出来上がるともう自分が怪獣になってしまっている。がおおお〜〜〜となってしまうのだ。
いかに想像力がオオセイなのかが勝負になってくる。

それと、佐山が作り出すテイストは、山の中に迷い込んでしまったような空間であり、それはまさしく子供の頃に駆け回っていた空間そのものなのだ。

「ねえ、やっぱりでしょ?」と聞こえてきそうだ。

●2000.03.03

やっとの思いで、書類を整え、茅ヶ崎市役所に駆け込んだ。
ひととおり、説明し、不備がないか確認し、アドバイスを受けた。

「あっ、あの書類が足りませんねぇ。」
「あとからではいけませんか?」
「いやぁ、困りますね。」
「あの〜〜、確認申請の受付期限が、6日までなんですよねぇ〜。(こまったこまったモードを醸し出す)」
役所の担当が空中に目を泳がせ、(今日は、金曜日ということは、明日土曜日、あさって日曜日、ってことは6日は月曜日・・・)と頭をフル回転させてくれてた。
「んじゃ、その書類は、あとからで・・・」とあいなった。

私は、心の中で(ありがとさん!たすかりました!)とつぶやくと(まあ、しょうがないね、こんかいだけはおおめにみるよ、つぎからはちゃんとね!)と言っているような気がしてしまった。

無事に受け付けてもらい、その足で、平野さんのお宅に向かい、無事に受け付け終了したことを伝えた。

その日は、確認申請を出したにもかかわらず、プランの話を永遠とつづけた。

ここまでくると、どういうライフスタイルがというよりは、それをやるとお金がいくらかかり、今のままでは、あといくら予算に合わないので、どうしようか・・・・・といった、明かりの見えないトンネルをまだかまだかと走り続けているような感じなのだ。
しかし、私も平野さんは、哲学を曲げてまで、つくりたくない!という意志は、はっきりしているので、簡単に経済効率優先で決められないために、どろどろとあがけばあがくほど泥沼にはまっていくのだった。

ふつう、確認申請を出してしまうと、あとは決めなければならないことはいっぱいあるが、レールに乗って竣工を待つというケースが多い。
今回は、竣工を迎えるまで、どろどろと泥沼をみんなで歩いていかなければならないような気配濃厚なのだ。

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