■ 物件概要 |
設計 :(株)生活空間研究所 一級建築士事務所 佐山希人
構造 :地上2階木造軸組構造
設計期間:2000.09〜2000.12
施工期間:2001.01〜2001.08
施工 :自分ノ家工房 渋谷光春
■ デザインコンセプト |
『まるで森の中』
●このすまいの特徴 |
OMソーラーシステム、近くの山の木を使おう、大黒柱、千本格子、屋上、木造打ちっ放し、シュリンクス、船舶用照明、船舶用丸窓、丸太庇、木製サッシ
▼ 木立の中をイメージした内部空間 |
▼ 木漏れ陽を仕掛けるトップライトと千本格子 |
▼ "たいぼく"(大黒柱)と "かぶだち"(千本格子) |
▼ 吹き抜けに開口部。個室であっても、孤室ではない |
※ 吹き抜けを介して緩やかに家族とつながる
▼ 住宅密集地では屋上が癒し(息抜き)の場所になる |
▼ ぬくもりと表情が豊かな木製サッシ |
▼ 丸太庇 |
▼ イメージスケッチ |
● 以下はオープンハウス(見学会)の広告に掲載された内容です |
文:佐山希人
▼ 近くの山の木を使おう! |
今年1月、南足柄の山に大黒柱を探しに行きました。
建て主家族、設計者、工務店、山主で山に入り、太く育った素性のいい木を探しました。
雪がちらつき、とても寒い日でしたが、工事をはじめる第一歩として、しっかりと記憶に残る一日になりました。
神奈川の山にも素性の良い木がたくさんあります。
近くの山の木をたくさん使うと、近くの山や森だけではなく、育っている木もどんどん良くなります。
素性の良い木を手に入れるための伐採は、木が水分を落として眠っている冬の時期に行います。
そして、今となってはとても贅沢な「葉枯らし」という自然乾燥をさせて山から降ろします。
チャンスは年に一度です。
▼ 人の手で造ります |
自然の恵みを存分に受けて育った、木をはじめとする自然材料は人の手によってすまいになっていきます。
山から降ろされた木は、熟練された職人さんによって、見事にかたちになっていきます。
そこには、経済効率優先の機械による生産では見られない「気持ちの入った」生きた技術が充満しています。
生きた材料は生きた技術で造られてこそ、生きるためにふさわしい本物のすまいに変貌すると実感します。
また、人の手によるすまいは同じものがふたつとしてできません。
たずさわるものの技術と意気込みの相乗効果は、毎回違ったかたちであらわれてきます。
我々は、その相乗効果を大切にしていきたいと考えています。
▼ 懐かしく、そして新しい |
ホッとくつろげる休息場所を目指して、「まるで木立の中にいるような」さわやかで心地よいすまいを造りたいと思いました。
どっしりと大地に根を下ろした大黒柱に、木漏れ陽あふれる縦格子。
それは少し懐かしい空間です。
木を使ってすまいを造り始めて、日本人は2000年以上になります。
鉄やコンクリートの歴史とは比較にならないほど、長い間木と共に暮らしてきました。
その伝統素材や工法、デザインを今の暮らし方に合わせて使っていきたいと思います。
暖かく、涼しく、そして人間的に暮らせる新しいすまいの形を造り出すために、OMソーラーなどの新しい技術と先人の知恵を融合させたいと考えております。
それはその地域にふさわしい、地域に根ざしたエコロジカルなデザインでもあります。
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