多くのプロセスを経て、建ち上がってくる。
そこには、多くの人たちの思いや技術が詰まっている。
たずさわる人間は皆真剣勝負だ。

葉枯らしをチェック


大工さんの仕込み設計者としての私の役割は、施主の代理人である。
全く白紙の状態から、施主の思いをえんぴつに託し理想の暮らしを探る。
数年かかることもあれば、数日で探り当てることもある。
設計作業は、間取りのパズル解きやデザインのいじくり作業ではない。
施主に成り代わり、願っている暮らしのスタイルを探る作業なのである。

現場監督机上の計画が練り上がる頃、様々な職種の人たちが参加しはじめる。
工務店を筆頭に製材所、大工さん、トビなどなど。
私の場合、近くの山に木を伐り出しに行くことを施主に勧める。
今の時代、裏山の木で家を造ることは最高の贅沢なのだ。
材料の出所を知り、そこに足を運び、自ら生木の最期を看取り、建材として第二の人生の出発を見守るのだ。

製材所そのようにして思いを木に伝えることが、今最高に贅沢なプロセスなのだ。
施主、代理人、工務店の三位一体で現場が動き出す。
現場に入れ替わり立ち替わり出入りする職人さんは皆気合い充分だ。
それぞれの思いが実り、様々なプロセスを経て、無事上棟を迎える。
施主も含めて、関係者にとって大きな山場である。
代理人にとっても、長い道のりを多いに悩み楽しんできただけにこの瞬間は背筋がゾクゾクしてきてたまらない。
おそらく、このゾクゾク感がある限り、施主の代理人業務を一生やっていくのだろう。

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