すまいに自分らしさを求めるかたが増えてまいりました。
何故なのかを考えているうちにあるひとつの目安を発見しました。
仮説にしかすぎませんが、私なりの見解を示してみます。
ここでは、マズローの欲求5段階説をかりて、「すまいをつくる」ことについて考察し、自然主義生活を考えてみます。

ーマズローの欲求の5段階ー

第1段階(生理的欲求)
・食べたい。着たい。
・家に住みたい。
・異性によく思われたい。
・子供がほしい。

第2段階(安全の欲求)
・危険から逃れたい。
・病気になりたくない。
・地位が安定してほしい。
 
第3段階(社会的欲求)
・ほめられたい。
・集団の一員として認められたい。
・公平に扱われたい。
・友情・愛情を求める。

第4段階(自我の欲求)
・人格を尊重されたい。
・出世したい。
・より高度な生活がしたい。
・自由でいたい。

第5段階(自己実現の欲求)
・自分の生き方仕事を確立したい。
・人間として成長したい。
・創造的でありたい。
・自己能力を十二分に発揮したい。

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上記の段階は、5段階を最高度な欲求と位置づけ、人間が成長するにつれ欲求が高度化することは、健全なことであるとマズローはいっています。すまいをつくることは、どの欲求段階でしょうか。
第1段階あたりの「家に住みたい」は、基本的に満たされていると考えますと、すまいをつくるきっかけとなるのは、第2段階あたりからの欲求と考えられます。現代では、第2段階の「安全への欲求」が、再びクリアされなければならない問題として浮上してきています。なぜ、再びなのかというと、自然素材でつくられた昔の家ではあまりみられなかった、家が原因で病気になるということが最近多く報告されているからです。ある程度、職人の経験や家相を基準にしつらえられた家は、自然とのつきあいを考慮していたために、家そのものが病気の原因にはなりにくかったのです。


しかし、現在では、建築に生産性、均一性などを求める傾向から、材料が工業製品化、化学製品化しています。また、生活様式も、利便性や効率性を求めるあまり、家電製品に頼る楽々生活となっています。これらは、一見生活が豊かになっていくように見えますが、体はしっかりと「なんだかおかしいぞ」と反応しているのではないでしょうか。目がちかちかしたり、風邪をひきやすくなったり反応している様な気がします。すまいをつくる技術は、進歩しているのか、後退しているのか、考えさせられます。しかし、この問題は、確実にクリアする必要があり、そのための取り組みは必要不可欠になります。


ごく一般的には、第4段階の「より高度な生活がしたい」が、きっかけとなりそうです。家族構成に変化があった、家が老朽化したなどです。ただ、必要だからすまいをつくるのであれば、そのときに必要な条件を満たすだけでよいでしょう。しかし、マズローの説からすると、健全な成長の到達点は、「自己の確立」だといっています。一生において、すまいづくりは、幾度とありません。一般的には、住宅ローンを組み、20年から35年かけて返済していきます。


そう考えますと、きっかけは、第4段階の「より高度な生活がしたい」であったとしても、しっかりと第5段階の「自己の確立」を見据えて計画しておきたいものです。そのためには、自分の欲求、家族の欲求を現在から未来へとより具体的にイメージしてみる必要があります。そのときは、自分にとって、家族にとってストレスの感じないすまいはどうあるべきか、自然体でくらせるすまいはどうあるべきか、を吟味しながら想像・研究することがもっとも大切なことになるでしょう。だから、まずは自分や家族に忠実な自然体の生活を考えたいのです。





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