クマコラム
19990714
風情とは自然に帰っていく過程の美しさをいうとも思う。
モダンな土壁風の外壁に杉皮葺きの玄関庇を提案した。
建物とは水的に縁を切り、庇を杉皮で葺くのだ。
お施主様に意見を求めると簡単に葺き替える杉皮が手にはいることとDIY的に葺き替えることができるのであれば、面白そうなので是非との返事をもらった。
竣工してからのメンテナンスを自分でやる覚悟無くてはお薦めできないのだ。
草が生えてきたり、キノコが生えてきたり、そんなことも面白く思え、自分でメンテナンスするくらいの気持ちがないと付き合いきれないからだ。
十年経っても表情が変わらないメンテナンスフリーな素材がほとんどである。
便利と引き替えに歳を重ねる美しさを放棄ししている。
そして、自分で自分のすみかを愛でることも放棄したのだ。
出来上がったときが一番美しく、だんだんくたびれていく。
やがてボロッと一気に化けの皮がはがれてしまう。
そんな素材が多くなってきている。
風情ある街には、熟して美しい素材にあふれている。
人間もすまいも年相応に正しく熟していき、素直に老いていくのがナチュラルなのである。
杉皮葺きの玄関庇ができたら、またいつかこのページで紹介したい。
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