クマコラム
19991119

11/17〜11/18あるお宅で使う建材を探しに福島に行った。
都会の人は自然素材で民家風に家を建てたがる。こちらの人は新建材で家を建てたがる。
田舎暮らしコーディネーターとして知られている吉津耕一さんが南会津を案内しながらそういっていた。
叶津番所という福島県指定重要文化財、旧長谷部家住宅の囲炉裏にあたりながら話しをした。

吉津耕一さんは古本と山林を交換しますというアイデアで村おこしのアイデアマンとしても知られている。
きっかけは、割り箸の乱用に抗議して箸を持って歩く人でも本を無駄にしている人が多いと気がついたからだという。
割り箸も本も原料は同じ木からできている。
割り箸を使わないことで環境を大切にしていますと言いたがる人に暗黙の抗議をしたらしい。

もともと南会津の只見で父親が製材業を営んでいた。
一本の木から建材をとり、残ったものはパルプの原料となり、また肥料となりあますことなく使い切るのを見てきた。
そういう生い立ちが古本と山林交換アイデアの源となっている。
いまでは、日本一の古本屋街が只見にある。池袋にもその支店がある。

住宅づくりの傾向は、首都圏の10年から20年遅れで地方に伝わっていく。
都会でのすまいづくりはシックハウス対策と健康素材が先端を引っぱっている。
新建材好きの地方の人がこのことに気づき伝統工法に戻るのはいつのことだろうか。
都会人が民家は伝統文化財として残すべきだと大声を出すのは簡単だ。
ただ、地方の人にも豊かな暮らしを求めて模索していく権利はある。
その豊かな暮らしとは、いったい何なのだろうか。

異様に底冷えのする重要文化財の囲炉裏にあたりながらいきどおりを感じていた。

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