クマコラム
19991125
「間伐材を使って」と朝刊3面に出ていた。
森林機能の低下が土砂崩れなどを引き起こしているのは知られている。
安い外材に押されて、山主が間伐をおこなって山を維持しても価格があわないのだ。
そうやって山の手入れをおこたると森の密度が高くなり日が差し込まなくなる。
結果、一本の木が細くなってしまい、台風や雪で倒れてしまうのだ。
森林機能の低下は、日頃の手入れで保たれており、それは我々が外材を使わず国産材を使うことで保たれていくと言ってもいいだろう。
建築で間伐材を使う試みは、10年以上も前からおこなわれていた。
ある建築家は、細い間伐材を使ってログハウス的に横組みにして住宅をつくっていた。
若木は収縮が大きく、建材で使う場合乾燥収縮との折り合いをどう付けるかが問題だと後日談を語っている。
朝刊でも建材としてではなく、割り箸、机、ガーデニング用品を対象に認証制度を制定するとあった。
昨日「クマさんよ、自然素材、自然素材って杉の板を使うのはどんなもんかねぇ?」と大工の八つあんに言われた。
「・・・・?」ぽかんとしていると、
「こないだ建てたMさんちを見てきたんだが、すいてきているんだよなぁ、材と材とがよ〜。あれでいいんだろうか。え〜っ!」と八つあん。
「確かに、外材や合板フローリングになれているお客にとっては気になるかもしれね〜な。」とクマ。
間伐材や国産材を使う意味は、環境問題から豊かな地域社会の育成へと大きく地道な意味が込められているが、建材として使われたときに外材や薬品漬けの工業製品に劣らない仕上がりにならなければならないだろう。
使う意味や建材としての健康性は、勝っているが仕上げたときに使いにくいんじゃ考えのもだろう。
価格と建材としての安定度が今後の課題と八つあんから考えさせられた。
ただ、十分乾燥させられるだけの時間と需要があれば問題解決の糸口は見つけられるだろう。
なんでもかんでも「早い、安い、うまい」というわけにはいかないのだ。
スピードと利便性に慣れすぎた現代人にとって、間伐材や国産材の利用は理不尽かもしれない。
だって、「はやい、やすい、きれい」な外材がいつでも手にはいるようになってしまっているのだから。
間伐材をつかって!と訴えている林野庁の問題解決への動きを見守りたい。
そして、クマも自分のすみかを守るために、近くの山で採れた材料に理解を示す建て主をつくっていきたいと思うのだ。
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