●2000.01.24

今日は、都内で一日打ち合わせがある。
朝早く起きて、ゆっくりとお風呂に浸かる。
ゆっくりお風呂に浸かるときには、本を持って入るのが癖だ。
何気なく、本棚を物色していて、数年前に買った、地下室の本が目に留まった。
んん〜〜!チカチカ地下!とうなりながら、手に取り、バスルームに向かう。

3冊ほど、買っていたのだが、あまりよく読んでいなかった。
しかしである。
地下室は、コンクリートと思っていた私に囁きかけてきたその本は、鉄骨パネルの地下室だった。
ん?ん?ん!とそのまま読みすすみ、バスルームから出た後、都内へ向かう電車の中でも、一気に読んでしまった。
特徴は、なんと言っても水に強いらしいのである。

気になった。
とっても気になった。
というのも今回の現場は、地下水位が高く、ボーリングを行ったときは、11月で渇水時期だったのだが、水位は地盤ー2.6Mだった。
梅雨時には、地盤ー1.5Mぐらいにまで上昇するらしい。
と言うことは、地下室にいると夏の間は、水の中にいることになる。
今回の現場の強敵は、予算もさることながら、水なのだった。

東京駅に着くなり、すぐさま電話を入れた。
「初めて電話をするのですが、こちらは生活空間研究所のさや・・・・・」
「明後日か、その次の日にでも、現場をみていただき打ち合わせをしたいのですが・・・」
「大丈夫ですか。どなたが現場に来ていただけますでしょうか?あっ!ヒガシカタさんですか!」
本の著者がたしかヒガシカタさんだった。
風貌は、石ノ森章太郎。
プロフィールをみると昭和8年生まれ、私の父と同じとし。
これは経験豊かないい話が聞けるかもしれない。
期待が膨らんだ。

●2000.01.26

地下室のヒガシカタさんと辻堂駅で13:00に待ち合わせをした。
10分ほど早く着いたので、もう来ていないかと石ノ森章太郎を捜して歩いた。
まだ、来ていなかった。
しばらくして、車に乗ってやってきたのは、若い石ノ森章太郎だった。

二代目が代表取締役を務めているらしい。
早速現場に向かい、一通りの説明をする。
「大丈夫ですよ!」と心強いひとこと。

なぜそんなに心配しているかというと、先日の4社合い見積もりの時の話の焦点が地下工事の難しさだった。
現場はそうそう大変ではないのだが、搬入路が一部狭くなっており、大型重機が入らないのである。
その工事の見方により、各社の見積もりが大きく異なっていた。

昨日、風呂に入りながら、熟読したその本によると、どんな現場でも地下を造ってしまうという心強いケースが紹介されていた。
そんな業者さんから、「大丈夫ですよ」と言われると「ナニが大丈夫なのか、はっきりさせてほしい!」とこちらも気になってしまい、詳細をファミレスで打ち合わせることにした。

いろいろと打ち合わせる中で、「ところで石ノ森章太郎さんは?」と聞くと、今では会長職について箱根の山で屋根に土を乗っけて、地下室的横穴住居のなかに大切なモノをしまい込み、宗教がかった変なことをやっていますよとのことだった。
やっぱり、物好きが高じて、いろいろやっているらしい。
私も屋根に土を乗せるのが得意なので、話すと非常に興味を持ち、一度現物を見たいという話になった。

近いうちに、プランを再構築して、見積もり依頼をするので、そのときはよろしくと伝えた。
別れ際、地下工事に関する費用は800万が限度だ、と付け加えておいた。
合い見積もりでは、1000万から1500万ぐらいだったので、少しでも押さえたかったのだ。

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