クマコラム
20000202
発想の原点とは何だろうか。
いろいろある。
「われ思うがままに考える」
「もっともっとと欲が出るから考える」
「これでいいのかと考える」
「障害があるから克服するために考える」
「見て刺激を受けて、考える。」
「聞いて刺激を受けて、考える。」
これらが、幾重にも錯綜して、いろいろなことが発想される。
前者三行は、自身の内的発想なのだが、それ以外は外的要因による発想の原点だ。
建築設計は、様々な外的要因が絡み合い、それらが折り重なるように、全体が構成されていく。
規模が大きくなればなるほど、内的要因よりも外的要因が支配し、全体像ができていく。
言い換えれば、規模が小さいほど、シンプルに内的要因を追求できる。
建築設計者がライフワークとして住宅を設計することを望むのもシンプルに自身とクライアントを見つめることができるからだろう。
地球へのチャレンジ「太陽」(平凡社)の2000.02号は、安藤忠雄の特集だ。
コンクリートにこだわり続ける安藤忠雄の発想力が一冊の本になっている。
なぜ、コンクリートにこだわり続けるのかは書かれていないが、つくりつづける意味は書かれていた。
ボクシングをやっていたことのある彼の場合、「〜は闘いだ」と表現されることが多い。
生い立ちにその発想の原点を見いだそうともしている。
クマの発想の原点もやはり幼児期の原体験が大きく支配しているように思える。
北の果ての稚内から少し南に下ったところの山の中で育ったころの原風景が発想の根底を流れている。
メリハリのある四季、人間よりも圧倒的に多い大自然、そんな中での毎日の生活が原風景になっている。
力強い木々、その間を通り抜ける風、草むらにねっころがって見上げた青い空、暗い森の中、まぶしい雪。
全てが辛くも楽しいさわやかな自然のふところに抱かれた生活だったのだ。
人間のすみかとして自然のふところに抱かれるような「すまいを」とつくりつづけるクマの発想の原点はそんなところにあるのかもしれない。
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