いよいよ基本構想案の作成の段階まで煮詰まってきた。
お話しをいただいてから、約3ヶ月ほど条件を頭の中で熟成させてきた。
それを一気に吐き出すときが来たのだ。
家庭の数だけ、ライフスタイルがある。
ライフスタイルの数だけ、棲家(スミカ)がある。
設計者の数だけ、その解が異なってくる。
すまいのかたちは、その組み合わせによって、星の数ほど結果が違うのだ。

これをお読みの方で、仮に建築家にすまいを任せようと思っている方は、建築家との相性と過去の作品がしっくりくるかどうかを見極めてほしい。
作者の指向が違えば、できあがってくるものも全く違う。
同じような価値観と、ライフスタイルを持った建築家に出会えれば、あうんの呼吸ですばらしいすまいができあがるだろう。

ここでは、森蔵ご夫妻の希望される条件と、我々設計者の思いを明らかにすることにより、その形の意味をあぶり出していこうと思う。

<森蔵ご夫妻のご希望>
・犬達との暮らしを快適に
 →家族(犬達と)のコミュニケーションを大切に
 →ストレスのない生活
 →犬嫌いの人に迷惑を掛けない
・終の棲家としたい
 →老後を見据えた犬達との暮らし
・木の香りあふれる、さわやかなすまい

<設計者の思い>
・犬達のためではなく、家人のためのすまいを提案
 →家人にストレスないのが、同居犬のためでもある
・平屋でプログラムを組み立てる
 →都市型環境ではできない平屋で構築
 →平屋が一番贅沢なすまいのかたちと考える
 →最低でも基本生活はフラットフロアーで
・高低差のある敷地をダイナミックに活用
 →日々の生活に有効な使い方を目指す
・化石エネルギーに頼らない生活
 →夏は自然の風を利用し、冬は太陽光の恩恵を
 →余剰エネルギーの有効利用(深夜電力、薪など)
・すまいは心身共に癒しと活力復元の場所
 →飾り気のない木と、光と風で生物のための棲家を
 →縄文弥生から続く、裸火(=精神弛緩剤)の復活
・質素で、剛健なやかた
 →無用で華美な装飾は一切しない

つづく

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