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2000年の夏、『藤沢鵠沼。木、風、大黒柱のある家』のオープンハウスではじめて建て主ご家族とお会いした。
奥様は、某ハウスメーカーに勤務していたこともあり、住宅産業の実情をよくご存じだった。
当時は、土地探しからという状況で『すまいを造るなら是非設計事務所にお願いしたいんです』とおっしゃっていた記憶がある。

2003年の春、『土地が見つかったので見てください』と連絡が入る。
正直、どのような方だったかすっかり忘れてしまっていた。
しかし、しばらくぶりにお会いしてすぐに思い出した。
早速その土地を見に行った。
土地は、良いとも悪いともピンとはこなかった。
その後、売り主側の都合により、破談になる。
今では良かったのではないかと思っている。
つくづく土地は縁のものなのだと思う。

夏になり、『また、見つけたんですけど』と連絡。
見に行くと、閑静な住宅街。
とても良い環境で、全く問題なしと感じた。
価格を聞くと、すばらしい環境に見合ってなかなかいい価格だ。
とんとん拍子に手続きがすすみ、融資先の銀行から計画期限を区切られてしまう。
それではと着手し、プランを練っていく。
このすまいの課題は都市住宅でのすまいのあり方だ。
住宅密集地での自然とのつきあい方ダイレクトゲインの方法。
ほどよい近所とのつきあい方。
昨今では我が城の守り方も重要だ。

5〜6年ほど前、建て主にお会いしないまま依頼されたプランを組み立てたことがある。
みごとにはずれたプランを提案したらしい。
その時の土地形状に酷似していた。
プランのスタディが暗礁に乗り上げかけたとき、建て主にそのお話をしてみた。
都市型住宅では南に開口部を設けることだけが快適性を得る手段ではないと。
大いに賛同して頂く。
やはり、顔が見える状況でしっかりお話ししないと理解が難しいテーマかもしれない。
その方針でプランは順調に進んだ。

もうひとつ、最近のすまいづくりにおいて私が気にかけているテーマに「離婚しないすまいとは」がある。
男性である私の視点と女性の視点は違うだろうが私の考えを建て主にお話しした。
その解決案も付け加えた。
『だから、設計事務所は考えていることが違うのよ』と大いにうけてしまった。
そのアイディアは、今回のプランには反映されていない。
しかし、可能性として私はそっと残しておいた。


■ 物件概要

設計  :(株)生活空間研究所 一級建築士事務所 佐山希人 鈴木香住 田澤徹
構造  :地上2階木造軸組構造
設計期間:2003.10〜2004.05
施工期間:2004.06〜2004.12
施工  :成幸建設(株)宮原成幸 岩田健一 


● デザインコンセプト

『防犯と地域コミュニケーション』


● このすまいの特徴

近くの山の木を使おう、大黒柱、屋上テラス船舶用照明丸太庇オール電化住宅、防犯造作格子、深夜電力利用蓄熱式床暖房ダイレクトゲインセルロースファイバー断熱材、付け庇、よしず天井


▼ 南道路に面して1階は開口部が少ない。2階からのダイレクトゲインを狙う

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▼ 1階屋上は奥様のスペース、2階屋上はご主人のスペース

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▼ 白い左官壁とステンレスはモダン、玄関庇はジャパントラッド。新しく懐かしく

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▼ 大きな吹き抜けが光を奥へ奥へと家族の気配と共に運んでゆく。

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▼ 神奈川県南足柄産の大黒柱

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▼ 天然素材のよしず天井

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▼ 屋上は都市型住宅では自然とのふれあいの場所。付け庇は太陽光をコントロール

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▼ シンプルなスチール製の造作防犯格子。躯体にがっちり縫いつけているので簡単にははずれない

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●[2005.05.25追記]:

今年2月、一年点検をかねて訪問する。
いろいろな不具合を確認する。
その中で、2階ロフトを自作したいというお話があった。
ご主人が書斎にしたいとのことだ。
住み始めてからでも簡単にできるように仕掛けてあった。
やはり、私が目論んだ『男の隠れ場所(かくれが)』が必要なようだ。
離婚しないためのすまいには是非とも必要な仕掛けだと思っている。


●[2005.07.12追記]:
平成17年度神奈川建築コンクールの書類審査を通過しました。
現地審査は、7/末に実施されます。入賞するといいのですが。
関連記事はこちら↓です。
平成17年度神奈川建築コンクール書類審査通過

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