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2003年暮れにはじめてお会いした。
工務店からじっくり取り組みたいというお客様いらっしゃるので是非お願いしたいと依頼がある。
時間をかければいいというものではない。
造り手の都合で進めるのではなく、じっくり話を聞いてほしいということだと感じた。

ご主人はたいそうな奥さん思いだ。
激務をこなすご主人が奥様にすばらしいすまいをプレゼントしたいという。
奥さんは終始にこにこしている。
ご主人にすまいへの希望を聞くとまだまだ固まっていない様子。
それではと、毎日の生活状況を根掘り葉掘り。
ご主人が議事進行役なので趣味をたずねる。
仕事が終わってジャズを小さな音量で聴くのだとぼそぼそ。
となりで奥様がとんでもないという顔をしながらにこにこしている。

ぴんと来た。
男の隠れ家が必要だ。
組織人であれば外での顔を家に持ち込むことほど家人はつらい。
家族思いであればあるほど、家に隠れ家が必要だ。
家族思いでなければ、家の外に隠れ家を造れば良いだけだ。
第一回目の提案プランを3案用意した。
防犯性優れたコンクリート造。
どこでも家族の気配を感じる多層ワンルーム。
2階に男の隠れ家、防音完備の別棟を造る。
どれも、依頼条件にマッチしたプランだ。

私自身オーディオ熱が再燃していた時期だけに、『ジャズを真夜中大音量で』が頭から離れなかった。
じっくりお話を聞き、スタディを重ねていった結果、バラエティサロン案がフィットした。
昼は奥様のさわやかなティーサロン。
休日は、家族みんなのレファレンスルーム。
そして、夜はご主人のジャズバーなのだ。
(ひそかに平日昼間は洗濯物乾し場になることは予想している)
みんなで使いたおせるこの空間アイディアは、だれもが勝手に言い訳できる贅沢な空間となるはずだ。

※このご主人は、私にジャズ熱を再燃させた張本人である。

■ 物件概要

設計  :(株)生活空間研究所 一級建築士事務所 佐山希人 鈴木香住
構造  :地上2階木造軸組構造
設計期間:2003.12〜2004.06 
施工期間:2004.07〜2005.02
施工  :自分ノ家工房 江藤浩光


● デザインコンセプト

『バラエティ・サロン』

● このすまいの特徴

バラエティサロン、オーディオルーム、近くの山の木を使おうダイレクトゲイン薪ストーブ船舶用照明丸太庇オール電化住宅深夜電力利用蓄熱暖房器
ピロティ、秋田杉


▼ みんなの多目的サロン。音響的には石井式オーディオルームを採用

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▼ 2003年12月、『葉山。木・風・猫の家』に来訪以来薪ストーブの癒しに魅了され導入

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▼ 冬の装備は薪ストーブ、深夜電力利用蓄熱式暖房器そしてダイレクトゲイン

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▼ 冬の建築的解決方法と夏のそれを徹底的に議論する。結果吹き抜けの効果を納得頂く

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▼ 折り重なるようにワンルーム空間をしつらえる。姿は見えなくとも気配は感じられる

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▼ 激務から解放される癒しの空間。友人経由で仕入れた秋田杉の板張り

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● プロセス・ドキュメント


▼ 理想のすまいが見えないまま山に連れ出される

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▼ 地響きを立てながら倒れ込む。圧巻

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▼ 買いたくてもお金で買えない貴重な体験

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▼ どんなすまいづくりもさかのぼれば、知られないところでここから始まっている

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▼ 無事にすまいが完成しますようにとの想いを込める

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▼ しあわせな家庭が続きますようにと想いを込める

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▼ 神主、工事関係者も皆同じ。建て主ご家族の幸せを祈っている

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