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■ 概要

所在地/神奈川県座間市
主要用途/専用住宅
家族構成/夫婦+子供二人+猫一匹

■ 設計

旧:生活空間研究所
担当 佐山希人 鈴木香住

■ 施工

成幸建設(株)  宮原成幸 監督  岩田健一 小崎太

■ 工程

設計期間 2007年3月〜2007年9月
工事期間 2007年10月〜2008年3月

■ 設計趣旨

計画地は遠方に丹沢山、眼下に相模川・小田急線座間駅を望む眺望の良い場所に位置する。その眺望の良さを最大限に生かすべく成人4人一家のすまい計画である。小高い場所に位置する計画地とはいえ、南ひな壇の隣地は4Mほど下がっており、そこに既存する2階建ての屋根が計画地地面より飛び出ていた。そのため1階レベルでは眺望を期待せず、求心的に内部に力を持たせることに注力し、2階レベルでその土地の持つ眺望の良さを生かすことを考えた。そのため、個室を1階に配置し2階にファミリーラウンジを計画した。2階の性格はすまう家族は皆成人なので、個々の都合で勝手に集うラウンジと設定し、ダイニング・バスルームを眺望が良いメインの場所に配置した。

1階レベルはそれぞれの個室を土間でつなぐ計画とし、その求心力を薪ストーブに託した。玄関ドアを開けると正面にデンと据えた薪ストーブは冬の存在感はもちろんのこと、オールシーズンその土間にきりりとした緊張感を与える役目を担うように床の間のような特別な意味を持たせた。家に入る者のシークエンスはまず薪ストーブに引きつけられ、そのあとライトサイドのビックステップに引き寄せられる。それは自然と2階へ意識を導くために設けられた意図されたデザインである。2階のラウンジへ向かうとき、狭いごく普通の家にある暗く狭い階段では気持ちが2階へとはむかない。あえて幅広で鉄砲階段の先には空が広がり、2階に上がることはステップアップするかのごとく毎日に高揚感を与えたいと考えた。降りるときはそのお姫様階段を意気揚々と下りながら外に飛び出していくのである。

この建て主とはじめてお会いしたのは2007年1月の寒いとき。建て主の友人が私を紹介してくれた。ハウスメーカー、工務店の設計施工よりも、すまいをつくるのなら、眺望を最大限に生かしつつ、もっともバランスの良いお金の使い方をする設計事務所が良いと推薦してくれた。推薦者は同業者であり、私としてもとても力が発揮できる仕事と直感した。その寒い冬、当事務所では薪ストーブがその存在感をしたたかに発揮していた。その暖房能力に気がついた建て主と推薦者はすっかり薪ストーブの虜になってしまう。けっして私から勧めることはしない薪ストーブ。冬に出会った建て主の場合、一度体感すると気になって仕方がない存在になるようだ。建て主のライフスタイルを拝見して、しっかり使いこなせるか心配していたが、先月薪ストーブに冷ややかだった奥様も使いこなしているとのメールを頂き、土間の求心力以上にすまいの求心力になっているのではないかと安心した。家族の形式をつなぎ止めておく力がすでにテレビになくなった今、かつての囲炉裏やマントルピースがそうだったように、もう一度裸火の力が大きな求心的な力になりそうな気がしている。

(株)佐山建築研究所 佐山 希人 2009.03.09 記

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座間。木・風・ビックステップス[No.47]

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