クマコラム
19990423

失敗した。知り合いの方からある人のすまいの基本プランを頼まれた。
必要な基本条件とある人の希望をつづったメモがFAXで届いた。なぜか急いでいるらしい。

手がかりは、数行のメモと敷地図と法的条件のみ。
施主と私は面識なし。手がかりは少ない。
条件が多いほど、また要求がきついほど住む方の生活像がおのずとあぶりでてくる。
条件が少なければ建築家としての日々の思いが色濃くなる。
南に面した6m道路は日当たりはよいものの人通りもある。
限られた敷地では、1階の南側に面して大きく窓をとっても昼間はレースを引きっぱなし。
それが豊かな暮らし方なのか。
陽当たりを優先し南道路の敷地を買ったお客様の気持ちをプランが踏みにじったらしい。
「どうして南に窓がないの?」
気持ちを察しあう対話の重要性をしみじみ感じた。
そして南向き神話が生活像抜きに根強く浸透しているのを痛感した。

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