クマコラム
19990929

海の見える家。
クマの自邸の「葉山。木・風・犬猫の家」は海のそば、山のヨコにある。
18の時に北海道から上京して以来20年あまり、数カ所首都圏で暮らしてきた。
23区内に住んだのは2年ほど一度だけである。それほど、都内がショウにあっていなかった。
学生の時でも、渋谷や六本木に行くと何でこんなに人がいるんだとそこにいるだけでもぐったりと疲れてしまう有様だった。
当時サーファーだったぼんくら大学生のクマは、海にぷかりぷかり浮かんで波を待つのが至福の時だったように覚えている。
やはり自然のそばで暮らしたい。
そんな理由で葉山を選んだ。設計事務所として独立するにあたり、窓を開けて、隣のビルの壁が見えるよりも毎日海や山が見えるところを選んだ。
ある大先輩は、田舎は生活するところで、東京は利用するところと祝福してくれた。そんな葉山暮らしもはや7年を過ぎようとしている。
今まで一番長く住んだところになる。自分の中では終の棲家にしようと思っている。
近所で中層マンションの工事が始まった。
静かで落ち着いた中での仕事はしばらくおあずけなのか。
今朝から土工事のトラックが往来するのが聞こえてくる。
海はいつものように表情を伝えてくれるが、静けさはない。
マンションができても海の見え方は変わらないが、しばらくは喧噪とのつきあいが続くと思うとぐったりする。
大工さんのトンカンとんかんは気にならないのにマンションの工事音が気になるのは不思議だ。
低層のしっとりとした民家と雑木林が、マンションにとってかわることへの抵抗なのか。
なぜかぐったりしてしまうのだ。

▼ コメントする

▼ サイト内検索                複数キーワードは半角スペースを挿入