●1999.11.12

Hさんは、積極的にいろいろな工務店さんに出向いて多角的にお話を聞いて勉強されていた。
中でもOMソーラーは是非導入したいとのことで、数多く事例を見学されていた。
この日は、Hさんの奥様のお友達の実家が工務店で、そこの設計担当の方の自邸がOMということでもあり、私も同行して小田原まで見学に行った。

おすまいに近づくと『むむむ....ややや....』、玄関前に薪が積んであるのだ。
なにかクマと同じ匂いを感じながら、家人の奥様と挨拶を交わした。
お話をお聞きしているうちに奥様もご主人もクマと同じ北海道出身とのことだった。
やはり、いちど裸火の強力な暖房能力と癒しの魅力を知っている人は、またいつしか裸火ストーブに戻っていくものらしい。
Hさん夫婦もこの奥様の薪ストーブの魅力についてのお話にしっかりと魅了されたようで、「我が家にも是非!」ということになってしまった。
かねてから、自然に負荷をかけない住まい方を求められているHさんだったので、OMソーラーの補助暖房に灯油ボイラーを使うのはどうかと考えていたのだ。
そこの道産子夫妻も「補助暖房は薪ストーブだけですのよ、ほほほ」ときたものだから、ぐらっと来るのもうなずけるのだ。

通常の設計業務で、クマからすすんで薪ストーブ導入を勧めることはしない。
それは、見た目の優雅さや楽しみ以上に維持管理が大変だからだ。
一度、何気なく薪ストーブを導入したいという方にこちらも深い説明もせず設置したことがあった。
竣工当日は、清里の山にも雪が降り、薪ストーブを焚いて竣工をお祝いした。
ところが、お祝いも終わり我々が引き上げたあとで、薪ストーブから煙はでるわ、火がつかないわでさんざん苦労されたそうなのだ。
あとから「あんなものいらない!もうこりごり!」と言われてしまったのだ。
あとで使い方を詳しくお伝えしたのだが、それ以来なんの連絡もない。
今頃どうしているだろうかと未だに時々心配になるのだが、手紙をだしても返事がないのだ。
クマでもときどき煙りだらけになってしまうくらいに難しいものだということをしっかり伝えておけば良かったと思っている。

さあ、しかし、薪ストーブを是非ということになると大の薪ストーブ好きとしては、いてもたってもいられなくなるのも事実だった。
導入するとなるとプランが大きく変わってくる。
たいがい、火が見えるように薪ストーブをリビング置きたくなるのが人情というもの。
しかし、都市型住居で開放的に風や光を取り入れようとすると2階リビングが基本。
薪ストーブは優秀な暖房器具なので40坪程度のすまいなら1台で家全体を暖めることができる。
そのため最下階に設置するのが一番よいと思っている。
いよいよ、悩ましくとも楽しい基本計画案の詰めの時がやってきたのである。

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