●2000.10.29
やっと竣工した。
大いに悩んで決めた外壁の仕上げは、上手くいった。
天候の具合で変化するテクスチャーは、評判がいい。
今日は、引っ越しだ。
玄関に入ると土間と薪ストーブが迎えてくれる。
右手奥には、囲炉裏があり、オープンで心地よいまるで居酒屋のようなしつらえである。
平野邸では、単一機能のいわゆる「玄関」はない。
暖を採る場所であったり、かまちに腰掛けて話し込む場所であったり、いろんなことができるようにしつらえてある。
この土間と囲炉裏の段差は、40cm。
腰掛けるのにちょうどよい高さであるが、チョイと立ち寄っただけでは、上がりにくい高さでもある。
立ち寄りやすい土間空間なのだが、そこから先は「どうぞどうぞ、お上がりください。」と声をかけられなければ、上がりにくく、目には見えない結界があるのだ。
ちょうど、昔の縁側のように。
既製品のBOXが、並んでいるのがオープン対面キッチン。
家具屋さんに造ってもらうと以外とコストがかかるのが、引き出し。
その引き出しを既製品とすることで、コストを他の方へ回すことができる。
大きな開口部から光と風が飛び込んでくる。
そのすまいの中でもっとも大切な自然を邪魔しないように細い鉄筋で階段をしつらえた。
地下から2階へとぶち抜かれたこのすまいの「ネイチャーコア」は、とっても明るく、気持ちの良い場所となっている。
このすまいの洗濯室は、地下にある。
地下で洗濯された洗濯物は、この風通しのいい階段にまるで「万国旗」のように干されることを密かに期待していた。
先日、機会があって、泊めていただいた翌朝、二日酔い気味の目で、「万国旗」を目の当たりにしたときは、思わずデジャブではないかと感激したものだ。
地下といえども、さんさんと光が降りそそいでくる。
地下の仕事部屋。
正面の壁は上から光が降りてくる。
木肌をなめるように降りてくる光を見ていると、「まるで森の中にいるような」という、平野さんには話していない密かなコンセプトが具現化されたと実感する。
地下室のサウナ。
腰窓からの自然光は、地下室であることを感じない。
引っ越しが始まった。
様々な人たちが、からみ合い、出来上がっていったこの世にひとつしかない貴重な空間。
人の動きが加わって、空間が生き生きと輝きはじめた。
これまでは、平野さんと二人三脚だったとはいえ、工事関係者や私の手の中のモノであったはずだ。
しかし、この瞬間からは、平野さんの空間である。
じっくりと長い時間をかけて、手垢をつけて、熟成させていってほしい。
●2000.11.01
薪ストーブの使い方と薪のつくりかたを伝授する。
なんのことはない、「怪我だけはしないでください。」とお伝えするだけなのだ。
薪ストーブ使いのコツは、奥さん(またはご主人)をその気にさせることである。
使い始めるとわかることだが、結構手間暇がかかる。
その手間暇以上のヨロコビを分かち合えるかどうかが、薪ストーブを使いこなす上で、一番大切なポイントなのである。
無事に生活が始まりました。
▼ コメントする