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このすまいは、相模湾を望む南葉山に位置し、湘南国際村という研究研修施設と住宅地が同居するニュータウンに計画された。
ここの住宅地は、敷地面積80坪前後が基本で、風致地区でもあるため、比較的ゆったりとした環境を保持している。
この計画に着手する際、建て主は大きく見えない家にしたいとの与件を我々に提示した。
また、家族4人と将来建て主のご両親が同居可能なすまいという機能与件も添えられた。
加えて、囲炉裏と薪ストーブという癒しの居酒屋セットも希望された。

それらを包括し、さらに昇華させるべく、建て主と我々のデザイン格闘が繰り返された。
道路から見える顔の部分は、大きく3分割し、中央に緑化格子を配置した。
それは、近い将来、緑化が実ったときには緑の壁を挟んで小さな2棟の建物が寄り添うように定着させるのが狙いである。
すまいの基本構成は、中央に大きな吹き抜けを配置し、そのまわりにプライベートでもなくパブリックでもない曖昧領域をまとわりつかせ、その先に個室をプログラムした。
それは、川の魚が本能的に本流(リバー)、よどみ(ワンド)、支流(ストリーム)を自在に行き来しながら、捕食、休息、繁殖といった行動に合わせて川を使い分ける様に、空間をしつらえたのだ。
季節、年齢、生活シーンに応じて、家庭内引越が自由にできることを狙っている。

内部は、夏はまるで木立のあしもとでそよ風を楽しむように、冬は囲炉裏と薪ストーブの裸火が生活の中心になるように、激務に追われる建て主の癒しのしつらえとしてデザインされた。
吹き抜けを囲む200mm角の柱8本は、建て主、設計者、工務店で東箱根の山に伐り出しに行った。
建築プロセスに積極的に参加することで、すまいへの愛着も増すと考えるからである。

1年半にわたる格闘の末、建ちあがったすまいは確実に南葉山に根付き始めた。


■ 物件概要

設計  :(株)生活空間研究所 一級建築士事務所 佐山希人
構造  :地下1階地上2階 鉄筋コンクリート造+木造軸組工法
設計期間:2000.10〜2001.05
施工期間:2001.06〜2002.03
施工  :自分ノ家工房 渋谷春光

● デザインコンセプト

『川の流れのように』

● このすまいの特徴

OMソーラーシステム近くの山の木を使おう薪ストーブ、千本格子、屋上庭園、ガレージ、船舶用照明、船舶用丸窓、丸太庇、造作キッチン、木造打ちっ放し囲炉裏


▼ 緑化格子を挟んで2棟が寄り添う

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▼ 右方向に海を一望する

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▼ 小屋裏収納に寝そべり、丸窓から海を眺める

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▼ 玄関に入る。アイストップに薪ストーブをしつらえる

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▼ 家族の気配をつなぐ吹き抜け(川の本流)

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▼ くつろぐためのリビング(ゆるやかな川の淵)

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▼ 造作キッチン

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▼ 西側の窓から千本格子を通した柔らかな光が入る(川面に差し込む木漏れ陽)

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[2003.11.01] 追記

このすまいは、『平成15年度 第48回神奈川建築コンクール 住宅部門 奨励賞』を受賞しました。
詳細はこちらをご覧ください。

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