昨夜、福岡に入った。
普段MLで会話しているので込み入った話はなく、生まれたばかりの次女ヴィンスと遊んで、早々に就寝した。
合宿第一夜は、到着が遅かったこともあり、早々に終了した。
翌日合宿二日目、早速、計画候補地に行った。
FAXでもらっていた不動産広告には「売り土地(G号)、家庭菜園・別荘、300坪、750万」とあった。
安いなあとは思ったけれど、条件次第で安くも高くもなるだろう。
都市型住宅地であれば別だが、山の中なのである。
区画はAから始まりHまであった。
すなわち、8区画。
今回の計画は、この8区角全て一括して購入するということだった。
なんと1200坪あまり、それも広告坪単価を遙かに下回る価格で商談しているらしい。
これは、なかなか好条件の物件に化ける可能性があると感じた。
現場は、メールで送られてきていた写真で見るのとはやはり大きく違った。
百聞は一見に如かず、である。
主要幹線道の国道から、山側に入り町道を車で3分ほど走ると、木のトンネルに出くわす。
その薄暗い木のトンネルをくぐると、ポカッと空が大きく開ける。
そこから、今回の計画候補地が始まるのである。
人里がある国道沿いからほど近いところに位置するのだが、木のトンネルがまさにタイムトンネルのように、一気にシャバと縁を切ってくれる。
通常、リゾート地へは3時間の時間距離がないとリゾート的な非日常感を感じにくいとされてる。
しかし、この場所は、国道から3分で非日常的な空間に出会える貴重な場所のようだ。
なかなか趣があり、感じが良かった。
敷地内に入ると、周囲は山に囲まれているが、そこだけ空がひらけていて、明るいイメージの土地だった。
敷地内から他の民家が一切見えず、まるで独立共和国のようだ。
そこに、切り土盛り土で整備された8区画が、まるで都市近郊の住宅分譲地のように存在していた。
正直何故、突然そこだけ開発されたのか理由がわからなかった。
あとから、わかったことだが、近隣にこのような開発事例は結構あるらしい。
大都市福岡市内から1時間弱のこの場所は、都市と関係を持ちながら、自分らしいライフスタイルを実践する人達が多く住むこともわかった。
いい意味で都市に近い田舎なのである。
小山の北斜面を切り開いて造成した土地のようで、南に大きな山を切り取った法面(のりめん)がそびえていた。
そのためにすまいの敷地として使えそうな区画は限られていた。
ぐるぐると敷地内を歩き回り、5感を研ぎ澄ませて印象を体にたたき込んだ。
水たまりからヘビがそそくさと逃げていき、大きな法面では、狐かテンか、何か茶色い生き物が急いで逃げ登っていった。
この敷地にへばりつくように外側を町道が走っていて、その道を敷地のはずれまで登り切ると、そこから先はまた別世界が存在していた。
緩やかな土地なりに開墾された田圃がのどかに広がり、これまたイメージのいい息の抜ける空間だった。
敷地の中から、抜けるような眺望がなかったのが残念ではあるが、全体的にはいい印象だった。
森蔵ご夫妻は、南側の大きな法面のことを心配されていた。
法面の頂上部には、雑木がしっかりと残っており、根を下ろしているようだった。
一見したところ、崩れそうな気配はないことを伝え、崩れたとしても被害が最小限になりそうな場所に計画することが肝要だろうと話し合った。
ジャーマン・シェパード3頭との暮らしを近隣に気遣うことなく、快適に過ごすための条件を満たすには、申し分ない環境と判断した。
この場所との出逢いは、半年以上前に遡るらしい。
昨年来、家族全員のライフスタイルを満足させるために、生活の舞台を探していたとのこと。
昨夏にこの土地に出会った時は、冒頭の「売り土地(G号)、家庭菜園・別荘、300坪、750万」だったらしい。
広いけど、他の区画に別世帯が移り住んできたら、まったく意味がない。
そんな想いでいたところ、一括売りの話しが出てきたとたん、がぜん意識が変わっていったようだ。
都市に近く、国道からも近く、民家が見えない独立共和国、変化に富んだ敷地。
その時点から、森蔵ご夫妻のライフスタイルを実現するには、もっとも近い候補地になったようだ。
敷地の環境、求めるライフスタイルを具現化するためには、どのような計画がふさわしいのかをぼんやり考えながら、山をあとにした。
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