10月上旬、讃岐うどんの本場に挑戦した。それも、昼飯どきにハシゴし尽くして、そのうまさを堪能するという短期勝負の旅をくわだてた。昼飯どきを狙うのだが、真の麺のうまさは、午前10:30までらしく、朝飯抜きで9:30から決行開始したのであった。完食し終わって、「たかがうどん、されどうどん。うどんの道も奥が深い!」と大いに感心したのであった。
それではノンフィクション開始!
9:00過ぎ、岡山から瀬戸大橋を渡る。腹が鳴る。目標ポイントは坂出〜丸亀まで5ポイントの完食を目指す。
<1店目、秘境中の秘境『彦江うどん』>
店は車の入らない路地にあるらしい。ぐるぐるまわって、偶然このやる気のない看板を発見!
住宅と田んぼのど真ん中。およそ、食べ物屋がある雰囲気はまったくない。
駐車場の奥に、出入り口らしきものを発見。感を頼りに左へ曲がる。
左の車庫奥に醤油の瓶が!目指す店はここか!
恐る恐る入る。
中では、うどんを打って、茹で、ケースに入れている真っ最中。
そうなのです。ここは製麺所。その片隅で打ち立てのうどんが楽しめるのです。下手なガラスケースの中で打っているのと違い臨場感満点。
おばちゃんにうどんを入れてもらい、自分で脇の鍋からつゆを入れ、左となりの客席へ。少し店らしくなっていた。
AM9:30頃というのに、すでに何人も食べていった形跡が・・・。
うどん(小)130円。油揚げ60円。計190円。さりげなく、いりこ出汁がきいて、さっぱりしこしこ。それ以上でもなく、それ以下でも無し!
<2店目、シンプルで絶品!名物かまたま『山越』>
AM10:30。道ばたでうどんを喰っている?讃岐ならではの光景!!
店の軒先で喰ってる喰ってる。昼飯前というのに地元民で一杯。
製麺、茹で場、レジが混在。勝手が分からないまましばし呆然・・。
踏んで(赤矢印)、のばして、切って、茹でて、もんで、よそって、精算して、すべて混在。ここはうどんのライブステージなのだ。
名物「かまたま」登場。釜揚げ卵とじうどんの略。丼に生卵を落とし、それにあつあつの茹でたばかりのうどんを放り込むだけ!それをもらい、かたわらにあるネギと出汁を好みで勝手に入れてかき混ぜてできあがり。これがなんともシンプルで美味い!
ふと、目を上げると、やはりそこはひとんちの庭先で喰っているのだった。
<3店目、うどんトライアングルの雄『N田うどん』>
このそばの交差点を挟んでうどん有名店が3店ある。この店の斜向かいが醤油うどんで有名な「小縣や」。少しうどん屋らしい店構え。
AM10:43。普通の飲食店なら開店前の時間。ここは普通の店らしく、客の入りも昼飯前の普通の感じ。
「小縣や」は、大根とおろし金。ここは、ショウガとおろし金。因縁のトライアングルの火花がかいま見える。
釜揚げと冷やし。出汁に漬けて食す。一般受けする馴染んだ食べ方。うどんのコシが勝負。3杯目にしてまだ腹6分目。奴は腹のどこへ。
<4店目、米屋の看板を探せ『谷川』>
12:30には讃岐を脱出して高知に向かうため、もっともマニアックな谷川へ進路を変更。カーナビが俄然真価を発揮する。
うどんの「う」の字も出ていない。うどんを茹でている気配を察し、米の看板が見えたら、そこが店だという。怪しい煙突を見つけ、近づくと米の看板。なにやら、逆に「見つけられるものなら、見つけてみろ!」的な、やる気を感じさせる店なのだ。
しかし!一歩店にはいると、喰ってる喰ってる。地元民、観光客、みんな入り乱れてうどんをすすっている。AM11:34。地元民は、うどん大を何度もおかわりする。だから、席を待つ行列はなかなか進まない。客席のおかわりうどん客が食い終わらないと席が空かない。
奥のおばちゃんが、うどんを釜に放り込み、ゆであがる頃になると「おばちゃ〜〜ん、おかわり!」。いつになったら、席が空くのか。
やっと、奥の席が空き、すわる。しかし、また先に喰っている人達の「おばちゃん!おかわり!」攻撃が激しく、なかなかうどんがまわってこない。
ふと、左に目をやると、うどんを打っている。打って、切って、隣のおばちゃんが茹でる。そして、「おばちゃん!おかわり!」。これが延々と続く。おそるべし、打ちたてうどん。
あっけにとられていると、「はいよ!そこのふたり。こっちで、出汁と薬味をかけてってね!」。言われるとおり、ねぎと青唐辛子入り薬味と出汁を投入。底に沈んだ生卵とかき混ぜて喰す。
釜揚げと冷やし。出汁に漬けて食す。一般受けする馴染んだ食べ方。うどんのコシが勝負。4杯目にしてまだ腹8分目。奴は腹のどこへ。
うどんの旅が終わった。
<完食し終わって・・・・>
午前中9:30〜11:55の間にうどん4杯。
満腹感はそれほどなかった。
脂っこさがないため、腹にたまらないのだろう。
うどんは、歯触りと薬味とのコンビネーションを楽しむものなのだと実感。
手の込んだ隠し味など一切無く、麺と薬味の一本勝負!だ。
どこの店も1杯200円前後。
華美な店構えをしていないところほど、臨場感満点だ。
そのうえ、美味しい。
質素な店構えはうどんで勝負!のやる気がみなぎり、かつ、低価格なところに人気の原因があるとみた。
讃岐でうどんを喰うのなら、店らしくないところを狙い打ちするのが王道と直感。
うどんを食い終わり、妙にラーメンが食べたくなったのは正直な感想である。
おわり。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
この記事を書いた当時、ある友人夫妻からこの記事に対する質問を受けた。
彼らも讃岐うどんくいだおれツアーを決行するのだという。
「どうして、最後にラーメンが食べたくなったのですか?」
その時は、「むにゃむにゃしかじか」とあいまいに返答した記憶がある。
今読み返してみると、「腹にずしっとこないから」だと思う。
うどんは、脂っこさがないぶん、何杯でもいける。
ラーメンはその逆。
腹はある程度満たされるけど、食べた!という満足感が得られない。
うどんと薬味の一本勝負より、スープ・麺・具の混然一体の乱れ試合の方が、私にとって満足度が高いというだけのこと。
ただ、それだけのことで〜す。(<にょりさんへ)