神奈川県茅ヶ崎市の小学校で日本初の空間がお目見えしたらしい。
「男子トイレから小便器が消えた!」という斬新、かつ男子にとっては夢のような空間の登場だ。
やはり集団生活する上で、雲胡の処理は男子にとって悩ましいことなのだ。
子供の頃は、よっぽどのことがないとクダルことはなかったが、呑み助にとっては大人になってからも悩ましい問題なのである。


ところで、家庭の中から、小便器が消えたのはいつ頃だっただろうか?
個人的な記憶では、昭和40年代はじめにスイセンヨウシキ便器が登場した頃から、新たに登場しなくなったような覚えがある。
スイセンがアサガオをくってしまったのだ。
今では、よほど大きな家か、大酒のみがたむろするような居酒屋邸宅ぐらいにしか見られない。
すまいから小便器が消えて4半世紀は経とうとしているが、それ以外の空間では未だ小便器は健在だ。
理由は、単位面積あたりに設置できる便器数がアサガオの場合スイセンの倍は稼げるからであろう。
清潔感は、圧倒的にスイセンの方が上回る。
どうも、あのアサガオはきれいに手入れされていても香りは何となく黄色い。
よって、使用するメンバーや人数が限定されている家庭においては、スイセンが増殖しても何らおかしくないのだ。


しかし、今朝の新聞では「男子たるものの威厳も消えようとしている!」「雲胡をしたからって、いじめられるようでは、けしからん!」なる反論も掲載されていた。
そんな論者に限って、家では「汚れるから小も座ってしてください!」と言われているのではなかろうか。
そんなことで男子の威厳や沽券にかかわるとは、到底思えない。
逆を言えば、「アサガオに向かって立ち小便」することで、威厳が保たれると思っているのだろうか。
まあ、男だけの特権ものが少なくなっていくことへの警鐘と読みとれば理解できるが、それって意味あることなのだろうか?


脱線するが、スイセンに対する想いは、家庭によってまったくそれぞれである。
完全個室型、バスルーム&洗面一体型、付加価値併設型。
すまいのプログラムを組み立てる上で、キーになることが多い。
完全個室型を支持する理由は、「落ち着かない」「匂いが気になる」などが多い。
匂いは脱臭便座の導入で全く気にならなくなるが、落ち着きは人それぞれなのでいかんともしがたい。
複数設置する場合は、個室の他に「バスルーム&洗面一体型」を導入することも多い。
更にランクアップを狙えば、「海を見ながら」「庭を見ながら」「ゆったりと本読みながら」と進化する。
機能を満たすだけなら個室でかまわないが、そこに「気分転換」や「思考空間」といった「ながら付加価値」を求めようとすると広さにしても清潔感にしても今までの概念にない空間が求められるのだ。
おそらく、すまいにおけるそれらの最大進化型は、「マイスイセン」だろう。
電算機からパソコンに移り、携帯ノートタイプに進化したように、マイスイセンも持ち運びできるようになるかもしれない。
そうなり、いつでもどこでも〜と考えると、人類にとってすばらしい「小さくも大きな大進歩」となるだろうに。


茅ヶ崎の小学校男子生徒は、「広く・明るく・とても清潔になった」とみんな喜んでいるらしい。
世論はどうであれ、男子の悩みのひとつが減ったのは陰ながら喜ばしいことなのだ。

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『葉山。木・風・猫の家』海の見えるスイセンからー

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