私は丸太をカットした丸太庇を外観の色気だしとしてデザインしています。
庇というよりも、霧よけに近いのですが、このさりげない仕掛けが大きな働きをしているのも事実です。
外観を決める色や素材は、建て主の嗜好によって様々ですが、できるだけこの仕掛けを仕込んでいきます。
家の中は無垢材いっぱいでデザインするのですが、外壁は基本的に隣家の火事が燃え移らないような材料を選択していきます。
建築基準法という法律上のこともあって、都市部(神奈川県では全域)では外壁に板張りをすることはできません。(燃えない工夫をすればできますが。)
しかし、法律的に可能でも、隣との間隔が2〜3M以上あいていないと板張りにはしたくありませんよね。
火事をもらうのは嫌ですからね。
ですので、木以外の素材で外壁をデザインしていきます。
そうすると、外部にほとんど木の表情が出ないことになります。
そこで、暖かみのある木の表情を持つ丸太庇が登場するのです。
それと、すまいも年を重ねることで、年相応に熟していってほしいと思っていますので、醜い汚れ方はしていってほしくありません。
この丸太庇の上に付いている鉄板の両端を見るとわかるのですが、少し立ち上がっています。
それは、庇の上にたまったほこりや汚れが、雨で流され、外壁を黒く汚さないための工夫なのです。
最近は庇のない窓がほとんどですが、やはりサッシが少しでも外壁から出ていたりすると、汚れの筋がそこから黒く流れている場合がほとんどです。
真ん中の写真は、1年ぶりに訪ねたお宅の庇なのですが、そこから汚れが垂れていないのが見えます。
うまく機能しているようですね。
丸太庇は、デザイン的にいい味を出すのは勿論ですが、この庇両端を折り上げることで、よごれも防いでくれる優れものなのです。
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