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この計画地は、葉山森戸海岸から50M程離れた住宅街に位置している。
海岸近くにもかかわらず住宅密集地であるため、敷地に立つと海の気配はなく開放感もない。
シーカヤックを趣味に持つ建て主は、海を肌で感じる日常生活を求めていた。
起床一番、海原を散歩、シャワーを浴び、それから一日をはじめる生活を描いていた。

周囲は2階建ての住宅が多い。
屋根から頭ひとつ抜け出ることで、開放感を手に入れることを試みた。
3階レベルまで上がると、空と海が一体となって迫ってくるはずだ。
海と空を必要なだけ切り取り、他は削除することを繰り返しスタディした。
昼は不在、夜は暗い。
朝起き抜けに、海をにらみ、一日をスタートさせるプランに落ち着いた。

晴れの海、雨の海、砂嵐の海、自然は様々に姿を変える。
海・空と合体した自然に寄り添う生活は、快適な日々だけとは限らない。
寝室、浴室、テラスが渾然一体となったスペースでの日常は、ちょっとした覚悟も必要だ。
癒してくれるのも自然、脅かすのも自然と割り切る勇気である。
そんな計画案を受け入れ実現した建て主と、共に葉山で生きてゆく覚悟は私もできている。
すまいが完成し、建て主と海空テラスから静かな海を眺めていた。
すると工事中には聞こえなかった「潮騒」が忽然と聞こえてきた。
海を肌で感じる生活が、静かに始まった。


■ 物件概要

設計  :(株)生活空間研究所 一級建築士事務所 佐山希人
構造  :地上3階 木造軸組構造
設計期間:2003.03〜2003.12 
施工期間:2004.01〜2004.06
施工  :自分ノ家工房 高橋暢
  

● デザインコンセプト

『海を肌で感じたい』

● このすまいの特徴

屋上テラス、可動浴槽、船舶用照明、3階建て、セルロースファイバー断熱材、温水式蓄熱床暖房


▼ バスタブをテラスにひっぱりだし海を望みながら浸る

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▼ 3階は空まで続くワンルーム

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▼ ワンルームとすることで不快なイメージが無くなる

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▼ 2階は天井高さを抑えた落ち着くワンルーム

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▼ 1階は写真スタジオとオーディオルーム

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▼ 外壁はシンプルに左官のホワイト一色。アクセントで部分的に木を(もく)を仕込む

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▼ 内部から漏れる生活の灯りが際だつ

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▼ ストイックなまでのシンプルさはアーティストならではの感性で受け入れられた

※ 建て主は写真家

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● 上棟の様子はこちら

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