昨日、ある現場で新築リスニングルームの周波数特性のチェックを行うというので参加した。このめったにないチャンスに誘ってくれたのは、鋼製地下室メーカー『3U(スリーユー)』の東方社長である。東方さんには、『茅ヶ崎。木・風・大黒柱のある家』で地下工事を担当してもらった。当時とても良い仕事をしていただいた。それで、今年のはじめ半地下オーディオルームの企画を実現するために再会した。その時に、東方さんは地下室を造る目的としてオーディオルーム、ホームシアターなどの用途が多いと話していた。たしかに、周囲の家に気兼ねせず、好きなときに好きな音量で音楽や映画が楽しめたら、人生もっと豊かになるだろう。そんなわけで、東方さんは地下室メーカーとして、音響の専門家と一緒にプロジェクトを進めるケースが増えているようなのだ。
さいたま市にあるその調査場所は、Aホームが地上部分を造り、地下をスリーユーが担当していた。音響の専門家は、知る人ぞ知る石井伸一郎さんという方だった。テクニクスというメーカーで様々なプロジェクトを開発したあと定年を迎え、現在は「石井式リスニングルーム」という画期的なシステムを考案しひとうひとつの現場でその理論を実践しているというかたなのだ。その理論は、ジョージ・ルーカスさんのスタジオでも採用されていると聞くと石井さんがどれくらいの人なのかが推測できるだろう。
現場に着き、東方さんと挨拶を交わし、リスニングルームに案内された。そこでは、暗闇の中で調整前の試聴が始まっていた。100インチスクリーンに『Tスクエア』のライブが大写しにされ、AVによる演奏が空間を満たしていた。第一印象は、聞き疲れしないシステムだと感じた。小さなライブハウスで、がんがん体当たりしてくるような音を好む私にとっては物足りなかった。20分ほど試聴して、室内にあかりが灯され、はじめて石井さんと名刺交換した。大家とは思えないくらい気さくな方で、すんなり会話がはずんだ。
『吸音部分と反射部分を交互に造り、バランスをとることが基本』
『その割合は、みそ(企業秘密)なのです(笑)』
『ピュアオーディオで17%、ホームシアターで22%、映画主体なら27%です。』
惜しげもなく、ノウハウを教えていただいた。吸音部分や反射部分の建築的造り方などは、先に紹介したサイトでも公表されている。私もすんなり理解していた。
私の他にも、見学者が4組ほど参加していて、いろいろ質問していた。その様子を聞いていたのだが、この空間は人の声もとてもよく聞こえた。普通の洋間は、声が響いて会話がしづらかったりするものだ。私が設計するすまいの場合は、無垢材や無塗装の仕上げが多いえうえに、構造材の梁や柱をむき出しにすることが多いので、空間がライブ(響く)になり暮らしにくいということは少ない。それにもまさり、このリスニングルームでは自然な感じで会話が成立していた。
『吸音部分から音が入り、吸音材で満たされた反射部分の裏側に回り込むことで低音を吸収するのです。』
リスニングルームの構造、造り方は理解できていたつもりだった。しかし、その裏側に回り込むことで吸音することがポイントということまでは、理解できていなかった。開発者の何気ない話で目から鱗が落ちた。『百聞は一見にしかず、そして、一聴にしかず』 である。その後、周波数特性を調査し、システムの調整をしていったのだ。新築時にあわせて、リスニングルームを造りたいと考えているかたは、ご一報下さい。石井さんと一緒にプロジェクトが組める下地は整いました。
[2005.01.11]追記:
すまいとオーディオルーム、ホームシアターを造りたいと考えている方にお知らせです。石井伸一郎さんは松下電器産業出身であり、日本のオーディオリスニングルーム研究の第一人者です。大阪を本拠地としていますが、関東でも設計段階からプロジェクトに参加いただけます。完成後は石井さんとHOTEI'S Websiteの松浦さんが周波数特性を計測し、適正な音場づくりの微調整、アドバイス等を行います。
自然派スタイルのすまいづくりに加えて、本格的なリスニングルームも検討されている方は、是非、佐山までお問い合わせ下さい。詳細については、HOTEI'S Websiteの「石井式リスニングルーム」をご覧下さい。
[2005.01.30]追記:
石井伸一郎さんと地下室メーカースリーユーの創始者東方洋雄さんは、松下電機産業時代の同僚とのことでした。その関係もあり、スリーユーの地下室で音響を重視するときには、出精仕事で引き受けるとのことです。
地下室でリスニングルームを検討されている方がいらっしゃいましたら、佐山までお問い合わせください。もちろん、地下室が無くても、すまいの全体計画からリスニングルームまでの計画も喜んで相談に乗ります。その際も、リスニングルームの監修から、完成後のチェック、修正のアドバイスまでしっかりと石井さんに相談に乗ってもらいましょう。
この道が好きな人にとってオーディオルームやホームシアターは、人生を豊かにしてくれるVivid's Toolだと思います。
そんな世界だからこそ、とことん追求していきましょう。
ではっ!
色々調べ物でホームシアターで検索していたら、この物件のシアターを施工したところがわかってしまいました。
いやー、どこでお目に掛かるかわからないですね。
アイフルで〜〜〜っす。(爆
お久しぶりです。>goron
自然派+ちょっぴりリスニングルームなneoparaです。
オーディオの季節ですね。
昨日、横浜でやっているA&Vフェスタに行ったら、スリー・ユーのブースがありました。最初はただ「リスニングルーム屋さんかあ」ぐらいに思ったのですが、近づいてみたら石井式の写真がならんでいたので、「ああ」と繋がりました。
松浦さんらしき方と、もうお一人(きっとスリー・ユーの方)がいらっしゃいましたが、連れがいたのでお話はしなかったです。
こんにちわ。neoparaさん。お久しぶりです。その後順調ですか?
>スリー・ユーのブース
そうでしたか。1ヶ月ほど前に東方さんから携帯に足跡が残っており連絡したのですが結局話ができませんでした。おそらくそれのお誘いだったのかと推測しています。
最近は私もすっかり海の上の狩人から、インナーな楽しみにふけっています。(笑
でも、目に見えない電気にはめっぽう弱く、いまだに何故スピーカーから音が出るのかといった基本的なことが理解出来ていません。