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本日、藤沢市役所から連絡がある。『藤沢。木・風・多層ワンルームの家』が、平成17年度神奈川建築コンクールの書類審査を通過し、現地審査をさせてもらうことになりましたとのこと。

この建築コンクール書類審査と現地審査の2回の審査を経て結果が出る。昨年の例で見ると、住宅部門で応募総数72件、書類審査通過17件、入賞8件。書類審査で23%(約1/4)に振り落とされ、入賞はその半分。まずは、約1/4に残ったということ。ある意味、うれしい。結果、入賞するにこしたことはないが、評価されたことは、大変喜ばしいことだと、真摯に受け止めている。

このすまい、私のサイトでは、『藤沢。木・風・パティオのある家[No.34]』として紹介していた。このすまいの特徴をシンプルに伝えたいとの思いから、応募にあたっては名前を変更した。現代の住宅密集地、あるいは都市部に建つ住宅の抱える問題点を明らかにし、それに対してどういう解決法を試みたのかということをしっかり伝えたかったからだ。そして、その問題点は単なるすまいだけ、それを包括する地域だけの問題ではないことも付け加えた。

それらに審査員の関心が示され、「では、実際に現場を見てみようじゃないか」ということに至っただけでも、大いに意義があったと思っている。

以下は、応募書類に添付した説明文。

/////『藤沢。木・風・多層ワンルームの家』設計趣意書/////

住宅密集地で自然と寄り添うくらし

このすまいの課題は住宅密集地で、自然と寄り添うくらしの模索である。

現在、地球温暖化・京都議定書・クールビズ・チームマイナス6%と国をあげてCO2の6%削減に取り組んでいる。
建築の世界では何ができるのだろうか。

エアコンに頼らない暮らしを望む生活者は多い。
地球温暖化を促進する化石エネルギーに頼らず、自然エネルギーの活用を目論む。
冬はエアコンや石油ストーブに頼らず、太陽光をしっかりつかみ取りたい。
夏は、空気特性を利用した気流をあやつり、クーラー無しの生活スタイル。
しかし、住宅密集地では外部に対してオープンになることが難しい。
プライバシーの確保と防犯面の考慮が立ちはだかってくる。

導き出された建築的解決は、多層ワンルーム。
プラン中央の吹き抜けを介して、冬は光を導き、夏は気流を発生させる。
1階屋上、2階屋上で、自然と交流する。
そして、1階は外部に対してゆるやかに閉じる。

エネルギー浪費をしない都市部での暮らしは、自然の力を利用して可能となった。
結果、健康的に暮らすことと、CO2削減の両立が達成でるかどうかは、今後の建て主のライフスタイルにゆだねられたのだ。

このすまいの主要構造材の大黒柱と梁は、南足柄の山に建て主と入り、吟味し切り倒し、葉枯らしを経て、街に降ろされたものである。
近くの山の木を使うことで、輸送エネルギーを最小限に抑え、CO2の削減に貢献している。
豊かな地域社会に向けて、川上からも仕掛けている。


2005.06.29
株式会社 生活空間研究所 一級建築士事務所
佐山 希人


///////////////添付資料///////////////

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