『京都 民家のこころ』より

ここは四条烏丸にほど近い、いわば京の町中であるが、そこに花が咲き乱れ、うれた柿を小鳥がついばみに来る。この庭には、そんななごやかさがあふれている。
その庭の一隅、家人が座敷の庭と呼ぶ部分に向かって、このような庇が伸びている。
本来ならば下の縁の端に雨戸が立てられるのが普通だが、ここでは全くそうしたものはなく、そのために、この庇はすばらしい広がりを持っている。

この庇の下を普通軒下という。この軒下は実に面白い部分で、庇が屋根の延長であるという意味では、軒下は建物につつまれるが、その下は地面であり、二つの異質のものによって上下をはさまれているのが、軒下という空間といえる。
それがとくに、このような開放的な縁とさらにつながっている場合、縁と、隣り合った庭とは、軒下を媒介として、縁に座った人の心の中では全く一体をなしているものとなる。

その人の心の中では、庇は意識されているような、いないような、そんなあいまいな存在であるが、もし庇がなくなってしまうとすれば、そこでは縁と庭という二つのものにはっきり分かれるか、また桂の離宮の月見台のように、外部空間の中に位置を占めるだけのものになってしまう。

庇は、意識されないながらも、おのずから人の目の動きを限定し、隣り合った空間への注意を喚起する。(文・橋本帰一)

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我が家の空中軒下空間も空中テラスと内部空間を意識下において密接に関係づける役割を担っている。

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庇は、雨をしのぎ太陽の直射光をコントロールするハードな役割以外に、軒先より向こうのものとこちら(内部空間)をより密接にする心理的効果もある。
積極的に仕掛けていくことで、より豊かな生活を喚起することが可能になるのだ。
電気的快適生活装置と共に暮らすよりも、自然と共に豊かに暮らす知恵を大切にしていきたい。

▼ コメント(6)

家には、かわいそうな軒下があります。
全部を覆うはずの、屋根が一部柱の都合で切れてしまってるからなんです。
ごろんさんに先日お教え頂いたラーメン構造ってやつです。
う〜ん、この軒下は鍵を開けるときには雨にぬれてしまい、最悪です。
図面上では気が付けなかったよ><

塾長さん、こんにちわ&昨日はお疲れ様でした。
軒先でバッハを演奏する塾長さんをモデルにさせてもらいました。(笑

>図面上では気が付けなかったよ><
家は3回建てなければ満足出来ないと言われています。(泣
で、2回目以降は設計事務所に!という方も結構おられます。
次回の田舎家計画の時は失敗しないように!です。

そうですよねぇ〜、非常に設計は難しいです。
本職の方がやったほうが良いにきまってるっすw
次回、家を作るときには、海の真ん中?(それは筒井康隆w
山の中にどうにかしたいと思っていますけども、一体いつになるころやら。
そのときには、ごろんさんにお願いしちゃいますよ。
そりゃ〜もう、当然でしょ、あの家をみたら^^
いい家だよねぇ〜木の感触とベランダと軒下の明かりw
ライティングデザインには凝りたいので、いろいろと画策しております。
しかし、いつになったら・・・宝くじも毎回買わないとだw

ヒサシひとつとっても、日本が大切にしてきた「しつらえ」があって、地域にあったデザインが綿々と受け継がれてきているんですねえ。
それに引き替え、「輸入住宅です!」と舶来品をぺたぺたとはり付けたうすっぺらなものが多いのも事実。もう今さら舶来品に目がいってしまう時代でもないんですけど。

>ライティングデザインには凝りたいので、
縄文時代から続く、ライティングの基本は裸火です。
だからせめてすまいの中では、蛍光灯ではなく電球。
癒しの音楽は、トランジスタではなく真空管。(<これはちがうか^^;

電球に関しては、仕事部屋には絶対だとおもってた。
でもって、家には蛍光灯が一本もないっす(これはちょっと自慢げw

ところで、その「しつらえ」についても、今度解説をじっくりとお願いします。
こんどこそ、NJQを聴きながらでも^^;

ヘーベルハウスは外壁が上れないので泥棒対策と、耐震に関して興味があったんです。そして、隣が非常に近い位置に立っているので、火事の際には出しても出されても、燃え移らない状態でいたかったんです。

う〜ん、でもさ、山の中に立てて住みたいっていう希望を持つ限り、この家はITには向いているけども、山には全く向いていないよな。
早く湯河原移住計画を実行したいところだけども、予算も時間もないときたら、単純に貧乏なだけじゃんって感じで、なさけね〜です。

>隣が非常に近い位置に立っているので、火事の際には出しても出されても、燃え移らない状態

これって大事です。私もそれは心がけています。
自分が出した火事で燃えるのならば、人間無事でかつ全焼を願いますけど、となりが燃えてこっちが中途半端に焼けるってのが保険的には一番やりきれないですからね。

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