もう、通い始めて10年になる床屋がある。
なんの変哲もない、町の床屋だ。
葉山に住み始めた頃、お気に入りの床屋が決まるまで3年くらいかかった。
どこの店も、決め手がなかった。

『カットしたのにまるでカットしていないように』が売り文句の店。
なんか中途半端で、好きにはなれなかった。
『気に入らなかったら、無料でやり直しますから』と、愛想の良い店。
切ってしまったものは元には戻らない。
『あ〜っ!今日はもう終わり!』
客を客とも思っていない店。このお店はいつもすいている。

そんな中、私の髭を丁寧にカットしてくれるお店に出逢った。
髪の毛同様に、実に丁寧にポリシーを持って対峙してくれるのだ。
髭を相棒にし始めて20年くらい経つのだが、そんなにまじめに扱ってくれる店ははじめてだった。
それ以来、年に4回ほど、10年は通っている。

昨日、その店の椅子に座るやいなや、『あれ〜〜進んでるなあ〜』ときた。
前回は『どうですか〜?』『まだまだ。大丈夫だよ』だった。
『前と進み方が違いますか?』『ほら、こんなに』(手鏡で)
『じゃあ、今までと少し変えていくか』『(合掌)』
私の髪の毛を観察し続けて10年なのだ。
もう、観念してプロの手に任せるしかないだろう。
ヒゲにこだわるだけではなく、ハゲにもこだわりがあるらしい。
それぞれのキャラクターをその人にベストマッチな状態に仕立てるこだわりだ。
なるほど。
店主曰く、女性は眉の仕立て方でその人の品性が決まるという。
おぢさんの場合は、全体の清潔感だという。
プロの価値観にお金を支払うことの意義をあらためて感じたのだ。


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