私と同世代で頑固に自分の建築を信じて造り続けているある建築家のブログ。たまたま覗いたその中にあった記事に感じて自分の考えを整理してみる。
////////////ブログ要約////////////
耐震偽装の問題は建築に関わる人間の建築というものづくりに対しての膿であるが、近代建築の未成熟な部分の露呈でもあるのではないか。ものづくりに対するその低姿勢は人を殺さずとも本来持ち得ている日本のものづくり文化の品位・品格を殺しているのではないか。『海外から日本にやってくる友人は 「日本というのは、どうしてこんな狭い土地に、400年以上も前のロココ調の出来の悪い模造品(住宅)が寄せ集められているんだい?もう日本という国は、僕ら欧米には土下座しなくてもいいのに・・・・・」という言葉を聞く度、心から恥ずかしい思いを感じてしまいます。』
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以前、湘南らしい住まいとはということを探索したことがある。「路上観察」と「映画に見る湘南」でやってみた。私から見て「おっ。かっこいいなあ」「なかなか」と思える葉山近辺の住まいのデザインはきまって一般的な言葉で言うと和風だった。そもそも我々建築デザインのプロからすると「なになに調」とか「なになに風」とかのデザインには嫌悪感を感じるのが特徴である。特に一昔前の原宿清里風のパステルカラー欧米風住宅、今ではハウスメーカーのフランクロイドライトもどき邸宅なんて「何故?」と思ってしまう。もっとも直近では建築家の専売だったミニマルデザインがハウスメーカーでも手にはいるようになったのだが。とにかく、私から見るに風雪耐え抜いて淘汰された日本のデザイン、湘南のデザインがあるのだと確信する。もう舶来品崇拝は終わってる。
日本の中で湘南といえば、一般概念的にアメリカ西海岸の風俗最前基地のように思われているだろう。そこに住む人、スタイル、実際の生活もアメリカ西海岸。だから住まいもやっぱりサンタモニカが似合う。という幻想の元につくられている粗悪品がいかに多いことか。もう、今ではサーフィンもアメリカ文化ではなく日本のスポーツでも良いだろう。きっかけはポパイであってももうそろそろいいだろう。しかし、街には欧米模倣が氾濫してゆく。それって「品位・品格の低下」でしかない。
見慣れてしまった湘南の「○△□風」デザイン。これって欧米の人が見たら『なんで?』と思うのだろう。トヨタやホンダ、ソニーやパナソニックがある日本が…。そろそろ、ライフスタイルと風土が合致した本来の日本あるいは湘南のスタイルに戻っても良いのではないだろうか。やってしまったことはしょうがないと反省することでそこからさらに新しいスタイルが芽吹くと信じたい。しかし、ホントに「僕ら欧米には土下座しなくてもいいのに・・・・・」と思われているとしたなら我々の責任は重いし何とかしなければならないと思う。風土を見つめようと切に思う。
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