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めずらしく住まいづくりの各プロセスが凝縮した一週間だった。それぞれのプロセスは当たり前だが過程であり次のステップへの足がかりである。学ぶことも多い。


060417-01.jpg建て主とのコミュニケーションも浅くまだまだグニャグニャの状態。とにかく少ない手がかりを頼りに暗中模索。建坪率40%で平屋を目指す。敷地の外に開くよりも内に可能性を探る。今まで見聞きしたワンフロアーアーキテクチャーを書き出してみて手がかりを探る。今まで見たことのないもの造りたいので知っている限りのスケッチを落書く。簡単に描ける平屋は既成概念だ。私が住んでみたい、未体験の建築を探ってゆく。落書きの最中に発明があるかも知れないし、頭の中も整理されるかも知れないし。とにかく、もがく時期。この時期がないと先に進めない。しかし、全く見通しがつかないのであきれている。期限ギリギリまでもがいてみよう。


060417-02.jpg全体の方針を見極めたい時期のプロジェクト。ダイニングテーブルと板の間の混在と融合を形にする。まだまだ、模索状態だが具体的な形にしてみて建て主から望むスタイルを探る。ぐにゃぐにゃ状態から少しテーマが見え、それを発展させてみる。発展させていく途中で気になった瞬間を切りとる。まだまだ頭の中は思考過程。しかし、具体的な形にしてみないと見えない部分も多い。プロセスとしてはこの時期が一番面白い。真剣勝負だがどの瞬間で切りとるかが面白いのだ。できるだけ今までやってこなかったスタイルを絞り出したい。住まいづくりに関わりだして23年ほど、設計事務所として専業にして12年。今までの経験と財産でやっていこうと思えばできる。しかし、まだ見えない住まい心地はあるはずだ。竪穴式住居から最新スタイルまで見渡しながら、まだ見ぬ住まい心地を探す。昨日建て主と模型を見ながらまた新しい手がかりをもらうことができた。


060417-03.jpg大屋根のある家が上棟した。建て主と初めてであったのは昨年の7月。約10ヶ月の期間を経て、試行錯誤が産声を上げた。上棟は建築の誕生日だ。悩んだ末に決定していったそれぞれの悩みが原寸大で立ち上がる。背筋がゾクゾクする瞬間だ。この時点での後悔はもう遅い。そうならないように悩み抜いてきたのだ。通りからちらりと見える大屋根の一部がこの住まいの印象を決める。狙ったとおりに一部しか見えない。良い感じだ。それぞれの住まいづくりもここまで来ると無事を祈るのみである。安全に、トラブル無く、狙ったとおりに。ただただ、工事の進行状況と品質のチェックに没頭する。竣工まであと4ヶ月。私が工事をするわけではないが気を抜くと良い現場にならない。


060417-04.jpgバラエティサロンのある家の1年点検。家族4人、45坪の2階屋は十分な可能性を秘めている。まだまだ1階だけで生活可能だ。あと10年もすれば二人の息子さんが思春期を迎え複雑な状況を包んでいくだろう。どのような家族変化にも耐えうる可能性と強さを持っているとあらためて感じた。住まいづくりで大切なポイントに作り込みすぎないこともある。様々な変化に臨機応変に対応してゆく懐の深さだ。子供の成長、あるいは独立、老後と刻々と家族は変化する。それらに応える懐の深さだ。それは住まいの大きさや土地の広さではない。すまいを造るとき、その時の家族像だけですべてを決め込まず、おおらかに箱だけを用意する乱暴さだ。私が1年点検で楽しみにしていたことは左の写真。外構の塀に取り付けられたネームプレートとインターホン。不用意につけると雨だれが見苦しい痕跡を残す。ちょっとした工夫がしっかりと機能していた。

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