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今日、藤沢市湘南台のすまいがほぼ完成した。ほぼというのは、外構工事が未完成だからだ。引っ越しの都合もあり建物部分が完成し住める状態になったのでお引き渡した。最初に建て主にお会いしたのは昨年7月はじめ。初夏、エアコンのない我が家事務所兼すまいにご案内した。建築条件付きの土地ながら、設計者は建て主の希望する設計者をいれても良いという条件で購入されたそうだ。当時、建て主は設計者を自ら探しておられて、私も含めて数名にプラン提案を依頼された。建て主が運営する設計コンペになる。奇しくも、提案者は皆一同に中庭案を提示したようだ。我々も、多目的な和室を希望されていたので、中庭を介し、離れが付属するようなプランを提案する。結果として、我々が設計者に選ばれた。その理由は、建築条件付き物件であろうが、建て主の用心棒としてしっかり仕事をさせてもらいますという意気込みを買っていただけたのかなと思う。

9月から設計は順調に始まった。11月、設計を進め見積もり依頼する時点で土地を売った建築業者は降板した。我々が望む仕事と建築業者の通常業務がかけ離れていたからだ。建て売りを主業務とするその建築業者は、通常の建て売り3件分はある面積とボリュームに対し、その仕事量は5〜6件分に相当すると判断したのだ。言い換えれば、建て売り6件つくっても3件分の売り上げにしかならない。設計事務所の仕事をやり慣れていなければ、建築業者にとってつらく割に合わない仕事になると判断したのだろう。トラブルこと無くすんなり工事を手放した。この時点で、我々用心棒としての仕事の半分はまっとうできたのではないだろうか。早速、設計事務所の仕事を得意としている成幸建設に相談。そもそも、成幸建設宮原社長の推薦もありこの物件に出逢っていたのだ。見積もりを依頼する。

条件付きの業者さんの2/3程度の見積もりが出てきて、俄然プランが現実モードにはいる。見積もりが安すぎても結果として建て主に迷惑を掛けるので、見積もりを精査して設計変更を繰り返す。今年の初めにようやく全貌が現実化する。4月、紆余曲折あったこのすまいが産声を上げる。上棟だ。8月末の今日、無事に竣工し引き渡すことができた。関係者全員が、楽しみ苦しみ、完成した。すまいをを金儲けの商品としかみない関係者者にとってはつらいだけだろう。時として設計事務所はそんな関係者を寄りつかせない見えない力も必要だと思う。

我々のすまいづくりは少なくとも1年はかかる。今から設計開始して、順調に進めていっても来年夏。長くかかっても、うまくいかない。早すぎてもうまくいかない。手順を踏んで進めていくと、1年くらいはあっという間だ。今から計画を進めていくと、今年の冬の伐り旬に間に合う。来年はすまいを造ろうと考えていらっしゃる方は是非今から準備を始めて欲しい。すると一年にたった一回の伐り旬に合わせて準備をすることは可能なのだ。実際に山に入って、吟味しながら大黒柱を切りたおす。あるいは、山主にメモリアルツリーだけでも、伐り旬に伐っておいて欲しいというオファーも出せる。来年すまいを造るなら今がはじめる旬なのだ。

あと、半月。この「離れのある家」もすべて完成して船出する。家族5人をのせた大きな船は家族の波瀾万丈を見守りながら大きな旅に出る。それを見守るまでは、我々の仕事も気を抜けない。最後の船出までしっかり楽しみながら見届けていきたい。


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