エントリー『可変スタイルーちゃぶだい』の続き。
一部、隠し釘を使ってはいるが、金物は一切見えない。このちゃぶだいはここに軽さの秘訣があるとみる。最近のちゃぶだいは足は折りたたみでも金物によるものがほとんど。その方が製作的には簡単であり、製品価格も抑えられるというもの。直径1.2Mで重さ8.7kgはやはり軽い。
最終的には1000番のサンドペーパーで磨く。どんどん磨いてゆくと、素材が持っている「ちじみ」も出てきて美しい。表面的には黒く汚れ、酷使に耐えてきた感があったが、一皮むくと美しさが蘇ってくる。やはり無垢材は再利用に適している。合板や突き板に比べて、生涯コストはやはり無垢材に軍配があがるだろう。
仕上げは、「エコワックス(トミヤマ)」。商品名に『エコ』というキーワードが入ると「うさんくさい」と思ってしまう。(と私は見ている)が、トミヤマはそうではない。1999年夏に当社と成幸建設で共催したイベントに社長の吉村さんにお越しいただいた(柿しぶの魅力[No.8])。実際に柿渋の効能や塗り方を教えてもらい、その人柄、商品に確かな手応えを感じたのだ。「柿しぶの魅力[No.8]」の写真は吉村さん。柿渋で染めたシャツとズボンで教授いただいた。
塗ると少し濡れたように仕上がった。小さなぞうきんでワックスを取りだし伸ばすように塗る。手についてもべたつかない。臭いを嗅いでもほとんど無臭。成分表示は「ミツロウ、ライスワックス、植物油、ラノリン」。すべて、天然素材。ちゃぶだいはたべものをのせる台。舐めても身体に悪くないモノで仕上げたい。
ついでに囲炉裏に蓋をした小上がり部分もリセット。4帖半のスペースをサンドペーパーで磨く。この床部分はすべて杉。それも畳下に使うような節だらけの安いモノ。(けっしてよそ様にはお勧めできないような激しいモノ。だから激安だったとも言えるが)それなので、かえって気軽にDIYでリセットできる。ちゃぶだいと同じく50番のサンドペーパーでざくざく表面を磨く。
上半分がペーパーで磨いたあと。下半分が9年の焼けと汚れ。板に入り込んだキズはとれないが、焼けと汚れは粉塵となってとれてゆく。無垢材の床などは、このように積年のよごれをペーパー掛けなどで取り去ってしまうことが可能だ。しかし、ぞうきん掛けなどで黒光りしてゆく床などは、それはそれで風情があるものなので好きずきではある。家の熟した姿を汚れと見るか、歴史あるいは風情と見るか大きく判断が分かれるところ。今回は囲炉裏の蓋とまわりの床の色違いが激しいのでペーパーで磨くことにした。
50番のサンドペーパーでざくざくやったあと、240番のサンドペーパーで磨く。50番だけでは、少しざらついたような感じだが、240番で磨くと足触りが良くなる。欲を言えばちゃぶだいのように1000番くらいで最終仕上げをしたいところだが力尽きて終了。ここにちゃぶだいと同じく「エコワックス」を塗り込む。昔ながらのやり方であれば、米ぬかでもいいだろう。以前、米ぬかで床を磨いたところ、磨いたそばから猫がぺろぺろ舐めてついてきた。なので、今回はエコワックス。
囲炉裏の蓋とまわりの床の色違いもなくなった。ちゃぶだいの天板も飴色になった。9年経って焼けている壁の針葉樹合板とのバランスも良い感じ。これからちゃぶだいライフが始まるのだ。座椅子がほしいところ。
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