日経アーキテクチャー 2006-7-24号の記事。興味深く読んだ。『有名集合住宅のその後』。中でも、1998年完成の岐阜県営住宅ハイタウン北方・南ブロック。巨匠磯崎新がコーディネートし、4名の女流建築家が女性の視点で「脱nLDK」を目指した。その約8年後の入居者の感想が赤裸々に紹介されていた。4名のうち2名が日本人、他2名は外国人。特記されていたのは日本の建築家の事例。ひとりは高橋晶子さん、もうひとりは妹島和世さん。高橋さんの住戸プランは、土間付き変形田の字プラン。田の字プランはふすまを開け放すと玄関土間からバルコニーまで一室空間となる。一方、妹島さんは各個室スペースの可変性はなく壁面が充実。また南いっぱいに広縁を設け戸建て感覚を取り入れた。雑誌の記事をそのまま要約すると「昔ながらの可変スタイル」の高橋案が圧倒的に支持され、「非可変の壁面、広縁」の妹島案はまったく不評。海外でもかなり有名な日本人建築家妹島和世さんでも、県営住宅ではさんざんな結果となったようだ。斬新で地平を切り込むような彼女のデザインは私も好きなのだが、生活感が無いと言えばそれまでかもしれない。昔から日本人の生活になじんできた田の字プラン。ふすまの開閉ひとつでいかようにも空間が変化する。風通し、冠婚葬祭、合理的。プライバシーと冬の寒さを克服すると日本人に合っているスタイルなのかもしれない。
田の字プランで可変スタイルといえば何はなくとも『ちゃぶだい』。ちょっと古くは「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」の食事風景のあれである。また、ちゃぶだいは丸くなくてはいけない。四角く長方形だと中心が定まらずなんとなく温泉旅館の食事になってしまう。丸いことで人数制限が無くなり、常に中心が存在し否応なしに皆が向き合うことになる。それでいて自然体で食事できるのが家族だろう。我が家にも導入を試みた。
ヤフオクでめぼしいものに出逢った。ガタがきていそうだったが修復可能と判断し落とした。諭吉さん1枚弱。他にも新しいちゃぶだいがいろいろあったが新しいものは重そうだった。可変スタイル代表のちゃぶだいは軽くなくてはいけない。ひょいとたたんで隅っこに押し込む。古いものが良かったのではなく、そんなちゃぶだいの本来の機能を満たすことを大切にしたかった。しかし、軽すぎたのかS川急便の悪いクセが出たのか届いたときには台座が壊れていた。がっくり。S川急便は費用を全額返金するということで結着。
いつもお世話になっている建具屋さんに相談。台座の修理だけを依頼。諭吉さん1枚。台座と天板は一体となって帰ってきた。そこから先は私の補修作業。それまでのオーナーだった家族の思い出で真っ黒になった天板を磨く。コップのわっか、タバコの焼け跡。40番のサンドペーパーでざくざく落としてゆく。中からケヤキの白い肌が出てきた。無垢材の本領発揮である。印刷ものや突き板ではこうはいかない。ざくざく落としていくと歴史をリセットできるのだ。製作されて50年以上は経っているだろう。足を折りたたむ細工がいい仕事。
すっかり色がとれたところで、180番のサンドペーパーでさらに磨く。木の目につまった積年の汚れとタバコの焼け焦げがとれない。誰の席だったのかはわからないが輪染みは消えた。だんだん、無垢の天板があらわれてくる。しかし、この天板は薄い。10mmもない。そのかわり軽い。直径1.2mもある大きなものだが8.7kg。最後は250番くらいのペーパーで磨く。仕上げは色はそのままで蜜蝋系のワックスを染み込ませてみよう。さて、可変スタイルの旗手はどのような働きをするだろうか。新しい歴史が染み込んでゆく。
うらやましい・・・卓袱台
欲しくて欲しくて、目黒通りをエンエン見てたんやけど
高くて高くて手が出なかった・・・卓袱台
で、やまだ?がテーブルを作る!って言って半年以上
ごろんさん家卓袱台・・・って話したら
ストーブに火を入れるまでに完成させる!って言い切りました
あと、磨いてちょちょっとするだけやねんけど、ネ
今年の冬が楽しみだ?
古いもので程度のいいものは高いですよね。
しかし、修理されていなかったり田舎の古道具屋に行くと結構掘り出し物があるようです。
目黒通りは、すべて高いです!
高いといいものかもしれぬという心理をついていると思います。
やまだ〜のテーブル楽しみですね。(ニヤリン