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今年の薪ストーブ初焚きは、11/18だった。昨年、一昨年とも同じく11/17だ。今年は一日遅いので温暖化の影響か?ではなく、11/17は一日外出していたので、11/18に焚き始めとなったのだけ。それにしてもほとんど同時期なのはなぜだろうか。きまって毎年この頃にぐんと寒くなる。

一週間ほど前、薪ストーブを導入する建て主と最終コーナーの打ち合わせ。朝一番のこともあり、寒かったので焚き付けの仕方も見てもらおうと薪ストーブに点火を試みた。薪ストーブの横っぱらについている扉を開けると昨シーズン焚き終わったままの状態。灰と炭状になったそのまま残っている。それらを掃除せず、新聞紙と薪を投入。ストーブ内部の煙道口に新聞紙火の玉をトングで近づける。煙突にたまっている冷え切った空気を押し出し、上昇気流を煙突内部に発生させるのだ。新聞火の玉を何度も煙道口に持って行くが煙突にドラフトが発生しない。建て主もそばで見ている。煙突トップに鳥の巣でもつくられてしまたっか...。いやいや実はまだ煙突掃除をしていなかったのだ。きっとススが煙道を塞いでいるのだろう。建て主にはお騒がせしましたと新聞火の玉の煙で充満した煙い打ち合わせスペースは換気のため窓を全開。さらに寒くなった場所で打ち合わせとなってしまう。うちの薪ストーブはシングル煙突が薪ストーブ上1.5Mほどで外部に横引きされている。外部もシングル煙突なのでその先10M上のトップまでは、木酢作成工場と化している。そのため気化した樹液が冷却され液化して煙突外部に流れ出るもの(木酢液)と煙突内部で固化してしまうものがある。その固化したものが風で半年以上あおられているうちに落下し、たまってしまい煙道を塞いでいるのだ。打ち合わせ後、掃除をする。でるはでるは。これではドラフトが発生しないのもあたりまえ。頭ではわかっているものの、何度か失敗しないと知恵にまで昇華しないというのはこのこと。やはり、薪ストーブをシングル煙突だけで構成するとマニアックな道具になってしまう。点火、温度管理、煙突掃除。どれをとっても知恵が必要となる。ここ数年は、安全のこともあり断熱二重煙突で構成しているので、それらの建て主さん達は快適な薪ストーブライフを送っている模様。これから導入する建て主さん達もご安心ください。私がやっているような小難しい道具にはなりませんので。

しかし、二重煙突なりの悩みも発生している。煙突外の温度に左右されずに快適にドラフトが発生するのでドラフトを抑える工夫が必要になる。そうしないと薪の消費量が多くなる。創意工夫される建て主さんは、そのドラフトを抑えるために外壁に設けられた給気口を少し塞ぐということもやっていると聞いた。燃えすぎるといちいち外に出て給気を調整するというのは、やはり快適ではない。そこで「煙突ダンパー」を手配。
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これを薪ストーブと煙突のジョイント部分に挿入し、ドラフトを抑えようというもの。もし、燃えすぎて薪がすぐに灰になってしまうという方はご相談ください。

薪ストーブを焚き始めるとやはり乾燥に対しての工夫が必要になってくる。加湿器を使って過剰に加湿するのは建物にとってあまりよろしくない。ペアガラスを使っているのに窓ガラスが結露するというのは加湿過剰。せっかく吸湿性のある建築躯体や内装仕上げが夏場の湿度をたっぷり吸い込んでくれているのでそれを吐き出す機会を無くしてしまう。薪ストーブを使うと一気に乾燥気味になるが、建築内部に蓄えている水分はすぐに出てこない。ゆっくりと水分を吐き出させてあげたい。そこでどうするかというと、入浴後バスタブにお湯を張ったまんま浴室のドアを全開。これは即効性があり実用的。このとき、くれぐれも浴室の窓はあけないように。入浴後、窓を開けるくせがある人は無意識のうちにそれをやってしまう。薪ストーブを使っている方は冬一度も浴室の窓を開ける必要は無い。家の内部に放出してしまうのがこつ。それと、もう少し湿度をあげたいなあというときは、洗濯物を家の中に干すというのも効果的。浴室開放、室内干し、建築からの湿度放出だいたいこれらの3本柱で、60%の湿度はキープできる。ただし、吸湿性のある建築空間でなければこの限りではない。

あと、薪ストーブを使うコツは、『寒くなったから焚く』ではなく、『寒くなる前に焚く』ということ。内部空間に熱を蓄えるということを心がけると良い。かつて24時間風呂というのがはやった。あれは、水からお湯にするエネルギーよりも、お湯を保温し続ける方がエネルギー消費量が少ないから経済的とうたっていた。家の中も、冷え切ってしまうと適温にするまで時間とエネルギーを消費する。なので、一度快適温度まで上げたら寒くならない様にちょっとずつ焚いていくのだ。そうすることでも薪の消費量を抑えることができる。うちでは、一日中、17°〜20°をキープし続けている。そうすることで不快な温度変化による内部気流も発生しない。一番のコツは、朝起きたときにまだ薪が燻っている状態を作り出せるかということだ。私は薪ストーブを使い始めて10年目ほどでこれを体得した。それから4年ほどなるが、毎朝起きるときがとても楽。まだ火がついているので薪を追加するだけで良い。

それぞれ薪ストーブの種類によって手なずけ方は違うが、朝、寒くない状態を保つことができれば薪ストーブを手の内に入れたことになり、実はそれが薪ストーブ最大の魅力なのだ。

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