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昭和22年に小松崎茂さんが描いた「地球SOS」の世界は、現在のお台場そのものだと言い残したそうだ。戦後に描いた未来像が実現しているらしい。先日。OZONEから「すまいにおける10年後」というキーワードでアンケート依頼が届いた。小松崎さんが描いた未来像とリンクしてしばし考えてみた。戦後直後から私が産まれる頃(昭和36年)までは、経済成長まっしぐらで未来と理想がたくましく明るく見えてただろう。その後、大阪万博。その頃までは未来は輝いて可能性ばかりを追っていても良い時代だったのでは無かろうか。

今から10年後。すまいはどのように変化していくのだろう。アンケートを送りつけてきた東京ガスの子会社は単に専門家にアンケートを依頼しその中から企業として生きるヒントを得ようと思ったのであろう。現場はそんなに単純なものではない。私の応えるアンケートで企業の行き先が見えるのであればそれで結構。見えなくても結構。しかし、良い機会なので時間が許す限り考えてみた。
そのアンケートとは。

ー10年後の住宅に関するお伺いー

Q1.住空間の変化やあり方に特に大きな影響を与えることは?

22項目あり、私がチェックした項目は
5.晩婚化、非婚化...などはチェックせず。
「19.社会のIT化、高度情報化」
「22.その他(環境シェルター化)」

Q1-2.影響が大きいと思う項目のイメージを。

「気候変化による夏・冬におけるすまいのあり方が変わる。温暖化など。夏一度下げる建築的な工夫が求められるだろう。冬もしかり。一度あげる建築的工夫。これはエネルギーが必要な設備に頼らないということ」

Q1-3.影響が大きいと思う項目の2番目のイメージを。

「IT化により、人口的都市集積型から地方分散化が進み、生活、地域コミュニティ尊重型へライフスタイルが移行し犯罪も減少するようにシフトする。(そのように我々がしかけなければならない」

Q2-Q6.キッチン・ダイニング。リビング。浴室洗面。玄関廊下。近隣エクステリア。に関して新しい設備や注目していることはありますか?間取りや機能、その他で今後予想される変化をお聞かせください。

無回答とした。これは一般解は無く、設備的かつ短絡的な回答を得ようとしている企業の魂胆が垣間見えたので応える気になれなかった。

Q7.現在の住宅建築全体に問題点や期待をお聞かせください。

「地域の持つ個性・固有形態が薄れ地域にとっての必然のスタイルが無くなっている。地域の個性を取り戻すべきと考える」

Q8.現在の都市住居についての問題点をお聞かせください。

「近隣との関係が希薄。積極的に近隣と関わる仕掛けが必要だ。」

Q9.今後10年間で30〜40代(一次取得層)がすまいを求めるときの変化は?

「本質に目を向けることができる思想が浸透し、スクラップアンドビルド的なコスト重視のすまいではなく社会の財産となり金融機関も中古住宅の価値を評価し個々の住宅が社会基盤の財産として流通するような仕組みができれば、一次取得者もその価値感にそったすまいの構築を目指すであろう。一次取得者本人達よりも社会全体の変化を望みたい」

Q10..今後10年間で50〜60代(二次取得層)がすまいを求めるときの変化は?

「インフラとしての建築構造とすまい手の意向で簡単に更新できる内装に色分けし、世代交代を視野に入れたこの世代のすまいの構築は分別ある仕立て方になるだろう。子孫にインフラとしてのすまいの構造を残そうとする意識がある場合に限られるが。少なくとも戦前の農家建築はその意志が感じられる。」

Q11.これからのすまいのイメージを「一言」であらわすならば...

「スケルトン・ストック」

Q12.エネルギーを使う設備機器について今後10年で実現して欲しいことがあれば。

「枯渇するエネルギー(石油・石炭)はやめる。再生可能なエネルギー(木・草)はどんどん活用する。自然エネルギー(太陽・風・波・熱差)はもちろん。その上で人間エネルギーをもっと活用する。スタジアムの熱気振動エネルギー。都市部駅舎での人間移動エネルギー。スポーツジムでの人間エネルギー。子供の無駄な動きエネルギー。エネルギー源に人間を利用しない手はない。もともとは太陽、動植物から得たエネルギーだ。もっと活用する方法はあるだろう。」


すまいにおける10年後を空想してみるにあたり、すまいにおける10年前を振り返ってみた。何が変わっていて、何を変えていかなければならないだろう。建築設計を職能としている私は建築研究者ではないので現実を感じながら考える。直感的には、明るい10年後は無いように感じる。おそらく、富士山はまだ噴火せず、いずれ来る大地震にワクワクしながら現在のやりかたでやっていると思う。検査制度は厳しくなり今はまだない第三者保証機関の検査が義務付けになりオカミの負担が軽くなり小作人の負担が増え...。少なくとも、日本政府が変わると建築の世界も大きく変わるのだということにだけは期待せず。自分と建て主でできることだけをやっていく。それだけを淡々と10年後もやっているのだろうなと思う。 

もっと、明るく芸術を語れる建築の未来はないのだろうか。
やはりそれは、まわりを見ずにモクモクと。なのかなあ。

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