■ 物件概要 |
設計 :(株)生活空間研究所 一級建築士事務所 佐山希人 鈴木香住
構造 :地上2階木造軸組構造
設計期間:2005.10〜2006.07
施工期間:2006.08〜2006.12
施工 :成幸建設(株)宮原成幸 岩田健一
● デザインコンセプト |
『変わり果てていく葉山の町。どぎゃんかせんといかん!』
● このすまいの一番の特徴 |
隣のお寺とおそろいの外壁
● 設計後記 |
このすまいづくりの顛末は「葉山スタイル完成」に記録してある。屋敷林が残る大きなお屋敷、歴史ある企業の保養所が次々と姿を消し、町が変貌している真っ最中だった。それは今でも続いている。2005年の設計当時、葉山町に私の設計したすまいが二桁を越えようとしていた。人口3万人弱の小さな町に10件以上。街並みに与える影響は少なくないと意識した。内部空間は建て主の意向と我々のデザインで組み立てていく。しかし、街の一部となる外皮は街との共有財産になる。建て主と話し合い、葉山町にふさわしい外皮となるよう慎重にデザインを試行錯誤した。
何がふさわしいのか。
『私は赤い服が着たいから赤い服。白い帽子をかぶりたいから白い帽子。』
それでは葉山町に限らずそれでは街の個性が消えてゆく。地球の裏側からでも建築材料を仕入れることができる現在、地域の材料に縛られることはない。まずはそれが地域の個性を無くしている。地域の材料による、地域の職人による、地域の風土にあった、地域の人のためのという視点も無くなり、地域の没個性化が進んでいく。山を切り開いてできた新興住宅地や山中あるいは田んぼの一軒家であれば気にならないだろう。古くから生活の舞台となっていた街では街の空気も変えてしまう。「新しいことは良いことだ」とばかり言っていられない。その地域特有のライフスタイル、人間関係のあり方までも変えてしまうのではないか。それではどうあるべきなのか。簡単に解は決めつけられないが、まずは観察し考えることに意義があると思う。
外皮については、葉山固有のものを採用したいと考えた。固有のものを色、形、素材に分解する。このすまいでは「色」と「形」で再構築した。「色」&「素材」、「形」&「素材」、「全て」など、採用方法はいくつかある。街は中遠景で認識することを前提にすると「色」「形」で空気は残せるのではないかと考えた。その結果、「黒」「不燃材の下見板張り」「不燃材の板塀」で外皮を構成した。本来は地域固有の材料を駆使したいところだが、街の中であり外皮という機能(燃えない)を満たすためにそういう選択とした。計画場所や部位によってはこの選択肢も変化する。今後もプロジェクトごとに注意深く街の空気が変わらないよう試行錯誤していきたい。
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