木の城たいせつが事業停止、自己破産申請へ北海道建設新聞社
2008年03月05日 19時12分先月、晋陽グループの支援と創業者山口昭氏の社長復帰を発表したばかりの、木の城たいせつ(本社・栗山町旭台1の15)が5日、事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。同社は山口昭社長名で、自己破産を申請する見込みであることを明らかにしている。負債額は、帝国データバンク札幌支店と東京商工リサーチ道支社によると、2007年5月期の単体決算で約68億円という。
同社は、道産木材を多用し、道外に進出しないなど、山口社長の北海道へのこだわり、「もったいない精神」を事業の柱に据えた独創的な住宅づくりで知られる。その姿勢をつづった著書「もったいない」は、20万部を超えるベストセラーになったほど。
宮大工として技術を身に付けた山口社長が創業したのが1950年、70年には無落雪住宅を専業に直営体制を確立。さらに通年施工・雇用を完全実施、ゼロエミッションの実現するなど、住宅産業界で独自の地位を築き、88年から現社名にした後も業容を拡大させてきた。
栗山町には、65000坪の敷地にトータルシステムを実証する、集成材や合板の製造工場など生産施設、宿泊体験を行っているモデルハウス群が建ち並び、多くの来訪者を迎えてきた。
帝国データバンク札幌支店によると、02年5月期の売上高は195億8300万円。しかし、その後は販売戸数が伸び悩み、07年同期は94億6600万円まで減少した。今期に入ってからも、一部取引先から資材供給を打ち切られるなど、厳しい局面が続き、2月から経営立て直しに着手したばかりだった。
今後は関連企業の行方も注目されるが、栗山町では「木の城たいせつからの税収は3000万円を超え、従業員も400人くらいいる」(水上州洋ブランド推進室長)と地元経済への影響を懸念、商工会議所などと連携して対策を急ぐ考えだ。
私はこの事実を2008年7月14日付けの日経アーキテクチャーで初めて知った。現在設計中のお客様から「建築基準法大改正で倒産する会社はないですか?」としきりに聞かれ「住宅を専門にやっている会社は倒産しないでしょう」と応えてきた。しかし。である。この企業の倒産は建築基準法大改正が最後の引き金を引いたのだろうと思えてならない。この企業は私が10年ほど前、企業資料館のデザインに携わった企業。記憶をたどればかつて「耐雪ハウス」といっていた優良企業の記憶。いろんな意味でショック。この会社の造る住宅は1階RC+2階3階木造の混構造をメインにしていた。建築基準法大改正で混構造はかなり厳しくなったと聞いている。だからなのかとも。と深読みする。
ネットで検索する限りそうでもないような。すでに4〜5年前から経営悪化していたらしい。私が10年ほど前企業資料館のお手伝いをしたときにはそんな気配はなかった。アメリカの大学から視察団が来るときのために資料館を考え。営業促進のために資料館を考え。そのときの山口社長は元気いっぱいだった。糖尿病の悪化を防ぐために社内にあるフィットネスで汗を流してから打ち合わせに望んだことは記憶に新しい。鶴の一声会社ではあったけど。社長がシロといえば真っ黒でも皆全員シロ...。
道産子の私としては、通年施工ができる体制を整えていた「木の城たいせつ」はすばらしいと思っていた。(北海道では建設業は冬期休業)。冬に負けないかつ国の補助金に頼らない北海道になろうと頑張っていた山口さんは実在した。10年以上前に「3R」(リサイクル・リユース・リデュース)を唱えていた。そして「もったいない」の本も書いている。現在さかんにいわれている、地球規模で実行しなければならないキーワードを発していた最初の張本人は山口昭さんなのだ。
●2008.07.14(月)
1階鉄骨。2階3階木造の確認申請。いよいよ。昨年の法改正以降4件の確認申請を提出した。昨年当時、混構造はまったく確認申請はおりないとの声が聞こえていた。木の城たいせつのすまいも1階RC+2階3階Woodの混構造。いやな予感が走る。とことんやるしかない
●2008.07.15(火)
確認申請図面を整える。道路幅員、道路の認定番号の詰めが甘かったので現場に行く。実際に道路幅をはかる。ミリ単位。更地の現場を見ると草がぼうぼう。早く確認申請をおろして工事にかかることを優先したい。近隣に迷惑をかけてしまう。
●2008.07.16(水)
確認申請図面の周辺から攻めにはいる。床面積求積図。シックハウス換気検討図。電気関係図。給排水関係図。外堀から完成させてゆく。構造含めた最終プランは明日の打ち合わせで詰めてゆく。今日は一日微風が吹いて心地よい。仕事をしていて少々寒いぐらいだ。もう、梅雨は明けたか。
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