現在、長年使ってきた会社名を変更しようと企画中。『生活空間研究所』という会社名にした理由はいくつかある。まずは生活空間って人間が一日生活していくといろんな空間に所属することになる。朝起きるとじぶんち。電車に乗ると電車空間。車に乗ると車空間。会社に着く前は街空間をあるいてゆく。会社に着くとオフィス空間。昼飯は飲食空間。買い物は商業空間。毎日生きてゆくと実はいろんな生活空間をくぐっていくことになる。欲張ってそのすべてに関わっていきたいと考えたから。幅広い建築空間を得意ジャンルにしようと考えたから。でも生活空間って「いえ」のことばっかり考えている会社みたいだなとは感じた。生活そのものを考えていくのはすまいが芯になるのでそれで良いかとも思っていた。
二つめの理由。今現在は私とかみさんで設計している。企業人だった頃の嫌な思い出があるので社名に個人名を入れるのは所員のためにやめようと考えたからだ。所員におもむろに「佐山さんさぁ。それはないよね」と言われるのは所員が嫌だろうと思ったからだ。でも、社名を略して「生活さん」とか「生活空間さん」といわれるのも何となくピンとこなかった。生協みたいで。また、一時期所員が6名いて、将来千人規模の設計事務所にしようと真剣に思っていた時期もあった。しかし、部下の育て方が悪いのか、往生際が悪いのか、自分の手でひとつひとつアイディアを育てていかないと納得できなくなった。仕事の進め方、できあがったもの、すべてに私の目が行き届いていかないと納得できなくなったのだ。結果。所員はひとりひとり卒業し、私とかみさんの二人だけでやっていくこのすべてに目が行き届くやりかたが心地よい。業務量がオーバーするときはネットワークでプロジェクトを組む。SOHOの肝はここ。小さくてもネットワークで大きなプロジェクトや多くのプロジェクトを完遂することはできる。大所帯で自転車操業が転んだときに会社をたたむことになるよりもよっぽど誠実だ。それに気がついてから入社希望の問い合わせはあるが新人君は採用していない。
となると『生活空間研究所』でなくてもいいだろうと最近思っているのである。きっかけは。春に恩師を現場に案内。当社の現場広告用養生シートを見て「佐山さんの名前がないのね〜」と奥さんがぽつり。『そうだなあ。ないなあ。』と心でかみしめた。いろんなことを欲張らずシンプルにするのが潔くて良いなと最近思う。いっそのこと『佐山商店』とか『株式会社佐山』とかが良いか。でも何屋さんかわかった方が良いので佐山建築研究所くらいが違和感なくシンプルで明快だろう。私たちを直接表現する名前にしようと考え中なのだ。
●2008.07.19(土)
世の中は3連休。朝一番から私はごりごり確認申請書類を整える。家族は森戸海岸へ友人に会いに行った。一呼吸おきたくなり、森戸海岸までかき氷を食べに出る。道は車で大混雑。浜辺も大混雑。イチゴミルクを食べそうそうにデスクワークに戻る。私のデスクがあるのは「葉山。木・風・猫の家」の2階。海に向かってハの字に開いた箱の中間に位置するので海風を良く拾う。デスクに戻るときっちりクールダウン。盛夏でも靴下をはかなければ冷え性になるくらいにこの空間は風が通る。この体験は今後のプランに生かしていかなければと日々。
●2008.07.20(日)
外に出る気もせずせっせと確認申請の準備。めがねの調子が悪いのでちょいと横浜まで行こうとサンダル君のハンドルを握る。車の量が多い。ガソリンを入れただけでとんぼ返りし仕事に戻る。思いっきり能率が上がる。夕暮れ。友人と森戸海岸。思いっきりベタなバーベキュー。しかし、これがグー。持ち込んだ食材でバーベキューをさせてくれる海の家。場所代炭代込みで500円/人。丼君家族からのおさそい。19:00から10:30までまったりと涼しい空間で肉をつつきビールを飲む。心地よい一日の終わり。家に帰り寝付けないのでケーブルTV。ストーンズの若い頃の映像。『ビートルズはたいそう偉くなって、最近はライブをやらずにレコード制作ばかりだけど、俺らはライブで行く!』とミック。映像最後、ポールがちらっと客として映っていた。ストーンズは終始一貫シンプルロック。すてきだ。
●2008.07.21(月)
確認申請準備の一日が終わりハードディスクに残っていた番組を消化視聴。建築家隈研吾さん。「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」と。手塚建築研究所の「トップランナー」。先頭を走る同業者の映像は見る気にならないと見ることができない。見る方も力がいるから。私もそのトップ集団を追い越すつもりでやっているのでこっちも気合いがないと正視に耐えない。ふっと、芋で心が和んだので拝聴した_。如何に純粋に自分自身の審美眼に忠実になれるかということが共通点だった。シンプルな思いを形にする。それも建て主の意向に沿いながらということ。そのシンプルさに酔いしれてこの記事を書き始めた。
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