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それぞれの事情で判断は個別に必要ですが、基本的なことを書き留めておきます。

●建築時期が異なる場合

既に周りの建物が建っていて、その隣地に新築する場合は、基本的に新築する方の都合ですので新築する側が自分の敷地内に全額自己負担で築造します。その際、計画内容を隣地の地主の方にマナーとしてお知らせすることが望ましいでしょう。隣地の方がそこに築造を予定している場合もあるかと思います。充分意見交換し、検討しお互いに十分納得できるように築造することをお薦めします。ご近所つきあいを円滑にすることは、そこに住み続けるうえでとても大切になります。

●隣地と高低差がある場合

建築時期に関係なく、敷地の高い方の地主がその敷地内に自己負担で築造します。それはその高い方の土地の安全性は、その塀あるいは擁壁の安全性による保たれる場合が多い理由によります。また、水の流れは高いところから低いところへ流れるため、高い方の地主はそこで発生した水が隣地に悪影響を与えないように考慮することも必要です。

●同時期に建築する場合

基本は自分の敷地内に自己負担で築造するのが後々のトラブルを回避できます。地主が自己負担でやるのだからといって好き勝手に築造することはトラブルの元になります。話し合いでどちらがどのような塀を築造するかを決めるのが望ましいです。隣地の地主がその計画内容に意見を言ってきた場合は、費用負担を折半にすることなども含めて話し合います。ただし、費用を折半、築造場所も隣地境界線上にまたがって築造する場合は注意が必要です。その塀の所有権はどうするか、メンテナンス費用はどうするか、仮に災害で破損した場合はどちらの費用でどちらが手配して修復するか。風水害などでの破損は、保険で修理することができるため、どちらの保険を適用するかも決めておくことが後々のトラブルを回避できます。また、何らかの理由で隣地の土地建物の所有権が変わることも想定されます。その際も塀については築造費用、築造場所、メンテナンスの取り決めなどの協議事項を文書に残し、土地建物所有権移転時にその内容も移転継承することを明記しておくことが望ましいでしょう。築造当初は穏便な話し合いを関係者両人が記憶していますが、代が替わったり売買で所有者が替わったりすると状況が変わることは充分想定されます。

●都市型のレアケース

土地を最大限有効に活用するために隣地ぎりぎり(有効離れ500mm未満)に建物を計画することがあります。その際、隣地も同時期に建築する場合、隣地境界線には何も築造せず、お互いに建物のメンテナンスや緊急時隣地に立ち入ることを許諾するという文書をかわすこともあります。それは塀に上って窓から侵入しようとする不法行為も防げますし、災害緊急時の避難通路として機能することもあり、隣地同士で承諾しあえることができれば都市型住宅地でのひとつの自衛手段になるケースもあります。


上記ケース以外にも、様々なケースがあるでしょう。基本は自己敷地内に自己負担で築造することです。また、道路に面した塀などは、街の空気をつくる大切な要素です。自分の住む街を大切にしたい気持ちは誰にでもあるもの。塀とはいえ、その街の空気をよりよいものにするように心がけたいものです。




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