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ダッチウエスト社の薪ストーブ「エンライト」の製造時不具合があった模様。当社も4台お客様に設置している。この薪ストーブは、触媒方式でもなくクリーンバーン方式でもない新しい数次燃焼タイプの薪ストーブ。外気直接導入もできるので室内に焚き火の匂いも出なくて優秀だ。

と先日の記事で書いた。早速、お客様のところに対策部品が届けられたと言うメールが来た。お客様から部品の取り付け方の問い合わせがあり輸入元に連絡を入れる。「この前、ニュースレターに写真を掲載してあったんですけどねえ。佐山さんそれを見て問い合わせてきたんじゃないのですか?」「いや、ネットでリコールという記事を見たお客様から情報が入ったんです」「あ...。。リコールっていう噂がネットで広まっているらしいんですよね〜。使い方の問題(未乾燥の薪を焚いてその樹液が白い煉瓦にしみこんで高温になるなど)で破損する場合があって、使い方の問題とばかり言ってられないんで、対策部品を破損した方には無償提供(送料別途)してるんですが、それが裏目に出てネットでリコールと言われてしまっているらしいんです。。。」と。

製品のそのものの欠陥でなく、使用方法に問題がある場合でも不具合が発生するのは、商品としてはやはり問題があると踏んだのだろう。不特定多数の使用者に商品を売っているのだから、不特定多数の使い方を想定することは必要だ。リコールではないが、輸入元が選択した方法は間違っていないと思う。

先日、新潟まで薪ストーブ設置のディレクションに行った際、その道のスペシャリストらしき薪ストーブ販売設置業者と燃やす薪の種類について議題が上がった。「針葉樹は燃やすと一気に高温になり薪ストーブを破損させたり、その樹種が持つ樹液が悪さして煙道火災になったり鳥除けネットを塞いでしまったりと良いことがないので針葉樹禁止としているんですよね」と私。「いやいや。信州では杉ヒノキましてやカラマツなんかを燃やしてはいけないなんてこと言うと薪ストーブが売れなくなるんでそんなこと言えませんよ」これは本音だろう。続けて「本場アメリカそれも北の方では針葉樹ばっかりだからガンガン針葉樹を燃やしているよ」。ホントかどうかわからないが、妙に納得してしまった。しかし、薪ストーブを永く使う生活道具として愛用するなら、針葉樹は避けて広葉樹をメインに使うのが望ましいと思う。私は焚き付けは火のまわりが早いので針葉樹を割り箸程度に細かく切って使うのがよいですよとアドバイスすることが多いがそれも信州ではNGだという。針葉樹は高温になる前。すなわち二次燃焼が始まる前は、大量の煙が発生するために近隣トラブルになるので焚き付けには使わないで欲しいというアドバイスをしているという。いやはや、ところ変われば、立場変われば、様々である。

薪ストーブは近年いろんな視点で再認識されている。が。街の中で使う場合、近隣との関わりの中で成立することをしっかり認識しなければなるまい。着火は針葉樹で夜か明け方。日中は広葉樹を高温で煙を数次燃焼させ、できるだけ透明にして放出。こんな使い方まで、不特定多数の薪ストーブ使用者に浸透させることはできないだろう。結局、どんなに不具合のない製品をメーカーが提供しても使い方ひとつで想定外の問題が発生してしまうことは避けられない。薪ストーブを導入することで夢のような暖かい冬が手にはいるとは限らないのだ。使い手のモラルが問われる生活道具でもある。


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