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■ 概要

所在地/神奈川県藤沢市
主要用途/専用住宅
家族構成/夫婦+子供二人

■ 設計

佐山建築研究所 (旧:生活空間研究所)
担当 佐山 希人

■ 施工

成幸建設(株)  宮原成幸 監督  岩田健一 小崎太

■ 工程

設計期間 2006年12月〜2007年11月
工事期間 2007年12月〜2008年5月

■ 設計趣旨

富士山が好きなご主人が、富士山の麓に山小屋を造ろうか悩まれた結果、藤沢市の北部湘南台に富士山が見える土地を求められた。街と縁を切らずに山小屋暮らしをされたいのだという。インターネットで私のスタイルに共感されメールでアクセスいただいた。私の「怪しい居酒屋・猫の家」に初めてお越しいただいたのは2006年秋だった。

薪ストーブを私からお薦めすることはしないが、ご主人の山小屋構想には薪ストーブが必須で頭の中では薪ストーブが家の中心に座っていた。私の薪ストーブプランの基本は薪や灰の搬出入が容易で多少ラフに扱っても汚れや火事に関係なく生活道具として毎日使い倒せることを前提にしている。そのため玄関は多少広めの土間として薪ストーブを設置することが多い。広めの玄関土間空間は、靴を脱がずに接客できる「縁側機能」も併せ持つ。玄関先の立ち話では失礼だが、家の中まで上がってもらうまでもない時に、土間の上がりかまちに腰掛けてもらいコミュニケーションする。薪ストーブ玄関土間はそんなパブリックとプライベートの隠れた結界をやわらかく繋げることにもなる。もちろん、薪ストーブの着火時ストーブの中の灰をかき出しその灰を屋外に出す、そして屋外にある薪や焚き付けを用意する、などの屋外と室内を行き来する一連の動作を汚れを気にせず靴を脱がずにできるのもありがたい。薪ストーブ土間はいろんな良さを持っている。

2006年暮れ。プランは何も決まっていないが山には伐り旬がやってきた。新月に的を絞りシンボルツリーを求めて神奈川の山に入ることにした。ご主人はどうしても尺角(30cm角)の柱を家の芯棒にしたいという。山小屋にしては立派すぎるが、植林後70年超えの山に入ることにした。目星を付けた数本を見定めて迷った末に生涯を添い遂げる一本を伐った。

また、ご主人はすまいから化学物質を可能な限り排除することも希望された。私もその辺の気遣いは特別に依頼されなくても設計理念としてベースに持っているので快く受けた。しかし、その徹底ぶりは細部に至った。床下通気を一般的な基礎パッキンではなく御影石にしたいという希望がそのこだわりを端的にあらわしている。浴室も工業製品ではなく天然石でまとめた。

初めてお会いしてから2年弱の年月が経過して、すまいは完成した。すまいを創るプロセスをご一緒し、この世に二つと無い建て主仕様のすまいに仕上がった。私の役目は、建て主の希望を現実の姿として具体化するための翻訳家でもあった。

(株)佐山建築研究所 佐山 希人 2009.12.12 記


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2006.12.22 東箱根にて 生涯を共にする一本を決める

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伐る

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愛でる

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2008.01.13 製材になる

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玄関土間

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杉の無垢板

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杉の内外装材

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杉の化粧野地板

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十和田石とサワラの壁

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ガルバリウム鋼板の屋根

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ペントハウスと富士見台

↓ 概要板(A4 pdf書類 58MB)をダウンロードする
湘南台。木・風・富士見の家[No.46]

▼ コメント(2)

心待ちにしていたページがアップされ、妻と喜んで拝見しました。
出会ってお見合いした頃のことまでよく覚えていてくれて、感激しました。
今日は「新月伐採」ですね。いつかお話を聞かせてください。

ずいぶん長らくお待たせしてしまいました。
日付を刻んでいると、もうこんなに経っていたんだと思いました。ついこの間のようです。
新月伐採やってきましたよ。あの場所はあいかわらずでした。

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