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2012.11.28。2008年に完成したすまいに行った。そのすまいは3社入札して、S建設が勝ち取って施工したすまいだった。今年の神奈川の北を通る2度の台風で2度とも漏水が発生したのだ。その解決と外壁の不具合の様子を見るために設計者として参画した。

S建設は、2年ほど前に残念ながら民事再生法の適用を受け現在再生をしている真っ最中の施工者だった。倒産したのではなくて、再生をもくろみ努力しているまっ最中の会社なのだ。現場に着くと、クライアントがS建設社長とその再生を請け負ったF社の担当者が挨拶をしていた。その会話を詳しく聞けなかったのだが、本日ここに来て漏水や外壁のクレームについては協力できるところは積極的にするけれど、協力できないことはできないスタンスで来ているというようなくさびを打っていたのではないかと思われた。

外壁の不具合。「その材料を指定したのは設計事務所さんですか」「設計事務所さんには、その不具合が発生した原因を探る義務があるのではないですか」。施工不良を指摘する前にそれを選択した私に原因追及する義務があるといってまったく聞く耳を持たないのだ。それは、S建設の社長が言っているのではなくて、スポンサーの担当者。加えて、「我々もいつまでS建設をサポートできるかわからないのです。支援注入をストップすればこの会社は終わりです。そんな会社を27社も我々は抱えています」「外壁の不具合を設計者が、なぜ追求できないのですか」

最初は、かちん!ときていたそのスポンサー会社の言い分。隣にいるS建設の社長の顔を見ると『なぜ、設計事務所はそれができないんですか。できるでしょ』という追い打ち発言。いっきになんとかチャンスがあれば是非ともまたS建設と、いやS建設の社長といっしょに仕事をして会社を復活してもらいたいものだと思っていた気持ちが吹っ飛んでしまいましたよ。

その打ち合わせには、一つできることならば一緒に仕事をしたいと思い、暖めていった物件があった。大きなもうけにはならないけれど、一緒にまたやろうよと言う思いを込めてしたためていった。でも、そんな気持ちはことごとく打ち砕かれ、きっと再生することはないだろうなと寂しい気持ちになって帰路についたのだった。

きっと、S建設は再生しないと思う。今のやり方では。施主はもちろんのこと設計事務所もお客さんだったということを再生の引き受け会社の担当は全く理解していない。S建設の社長は今は彼の部下なので何も言えないのだろうが、再生開始以前よりも今がつらいのではないだろうか。

もちろんのこと、漏水の原因は発見して解決の見通しをつけ、私が外壁不具合の原因追及を請け負ったのはいうまでもない。民事再生のスポンサー会社に言われるまでもなくそんな仕事はこちらの仕事なのだ。





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