今週初めの祭日月曜日、「葉山。木・風・海・空の家」にクライアント候補と見学に行く。先月クリスマス前、そのすまいのご主人と一緒に2シーズン目の冬を迎えるにあたって薪ストーブを設置した。一番お金のかかる煙突は新築時に用意しておいた。私の知る限り一番コンパクトで2時燃焼するタイプの薪ストーブをご主人が選ばれてご自分でネット購入した。薪ストーブのプロとしてやはり手弁当で設置したくなるのは当然だ。二人で設置を終えあとはご主人の健闘を祈ることにしていた。それから年が明け見学に行くと良い感じで薪ストーブが我々一行を迎えてくれた。ストーブのガラスがとてもきれいだったので聞くと掃除しているとのこと。とてもきれいだった。あれなら良く燃える火が見えるだろうとホッとした。

人は車を買う場合、雑誌を買いあさったりあらゆる情報に目を光らせてその車の情報を知ろうとするし、しかも試乗をして乗り心地を確かめる。薪ストーブの場合はどうだろうか。パンフレットを見たりするだけで決めてしまうことだろう。迷ったら車に置き換えてみると良い。どちらも燃焼システムによって稼働しているからだ。〜中略〜


■燃費はどうか?
リッター何キロで走るか。薪ストーブでは1回薪を入れるとどのくらい暖かさをキープしてくれるかどうかということ。オープンタイプの暖炉のように燃えさかるだけでは薪はいくらあっても足りないのだ。

■オートマかマニュアルか
運転しやすいオートマ(クリーンバーン)か、手間がかかるが燃焼効率の良い(触媒式)マニュアルか。使い手の性格で決めるのが良いかも。

■高性能エンジンであるか
暖炉などは大量の空気が入り燃えさかっていくが、薪ストーブの場合は長く火を持たせるように工夫がされている。単純に薪を燃やしてしまう1次燃焼タイプのものか、一度燃えた煙をさらにもう一度燃やす二次燃焼タイプのものかによって性能は異なる。さらに同じ二次燃焼タイプのでも触媒を使って完全燃焼させるタイプのものかでも異なる。触媒を使うものは熱効率が上がるだけではなく排気ガスもクリーンになる。後者になればなるほど高性能なエンジンを持っている車と同じことだ。

■スポーツカーか普通車か
ポルシェのようなスポーツカーに乗る場合、のろのろ走っていたのではポルシェの良さ少しも発揮出来ない。薪ストーブも同じで暖める部屋の広さによってグレードが決まる。大きな薪ストーブでちろちろ燃やしていても、小さな薪ストーブを無理してがんがん焚いていてもどちらもストーブに良くない。300Kcal/坪(佐山経験値)で換算して適切なストーブを使うのが良いだろう。30坪の家なら9000Kcal程度の出力がある薪ストーブがいいだろう。

■マフラーは?
マフラーは薪ストーブで言えば煙突だ。ひとつは曲がりの数。少なければ少ないほどよい。二つめはシングル煙突か二重煙突か。火災の危険性と排気効率だけを考えると二重煙突がよい。家を造るときにはじめから薪ストーブを入れる予定がある場合は最適な煙突の抜き方を考えてプランを造るのがベストだ。

これらのポイントを車に例えるとわかりやすいだろうが、適切にやると上手に使えば毎日使っても30年〜50年は使えるものだけに慎重に選んでみたいものだ。

ポール・キャスナー氏(ファイヤーサイド)の原稿を佐山が加筆減筆している。


本日、我がワークスペースの改装が終わりゆっくりと薪ストーブの火を眺めてみた。薪ストーブの火をじっくり見ることはほとんど無い。暖を求めてせっせと火をおこすのが関の山だ。いろんな意味で一段落ついたので、消えかかっていた薪ストーブの火をおこしながら、傍らに座り眺めていた。何ともいえない落ち着きがある。ぱちぱちと燃える火を見ていると全てを忘れることができるとでもいうのだろうか。今焚いているのはサクラ。ひなみちんちからもらってきたもの。熱いのだがストーブ庫内に手を入れて煙をつかむと良い香りだ。サクラの燃えるにおいだ。手が瞬時にして薫製になる。縄文弥生の時代からこの裸火に多くの教えをもらったはずだ。燃える火を前じいさんばあさんが子どもや孫に世の中のなんたるかを教える。それは昔話かも知れない。電気のない時代唯一の灯りを前に年長者が語る。今ではそんな時間の流れ方はないだろうな。TVゲームよりも良いコミュニケーションツールになると思うのだが…。扱い方によっては人間もろとも焼き尽くす。しかし、扱い方を間違えないように子どもにもしつけ身近に置くことで、温かい食事、昼間の疲れ、寒い日は心も温まる暖房、暗い夜は灯りにもなる。人間と動物の違いは火を扱えるかどうかだ。原始的でありながらこれを忘れてしまってはまっとうな人間にもどれない。オール電化と裸火のない生活。これはどう人間を変えていくのか今からしっかりと考えながら我々建築家が軌道修正していく必要がある大きな課題だと思っている。

▼ コメント(2)

薪ストーブ順調です。この間、いただいた「さくら」すっかりなくなりました。ありがとうございました。

元々薪ストーブを導入した理由は「暖」をとりたいのが第1の目的でしたが、それ以外の楽しみが増えました。

それは寝る前に一人で薪ストーブの前にアルコールを持ち込み、炎のゆらぐのを見ながらの一杯。格別です。気持ちがイライラしている時なども、この炎と薪が燃える音を聞いていると自然に目蓋がとじてきます。これがゆらぎの効果なのでしょうか!
しかし薪不足が非常?に悩ましい。

先日はありがとうございました。サクラの香りはいかがでしたか?
薪の種類もいろいろ経験すると、どんどん贅沢になるので要注意です。

思わぬ良い副作用が出ているようで良かったですね。しかし、ちょっと燃えすぎるクリーンバーンのようですので、ガラスの上の隙間の調整がもうすこしうまくできると良いですよね。
オートマなので、燃費が少し悪いのはいたしかたないのかもしれません。今のうちから、せっせと堆肥センターから薪を調達しておいた方が来シーズン安心ですよね。春になってから集まってくる木々は水分を吸っているので今のうちに集められると乾燥しているし、若干軽いし良いのですが。

▼ コメントする

▼ サイト内検索                複数キーワードは半角スペースを挿入

             
   

▼ 記事へのコメント