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とにかく忘れないようにしておこう。ボウビロクその1。

今年(2007年)6月20日。建築基準法の大改正があった。
ことの発端は、レイの「姉歯事件」である。このことにより、国土交通省は建築基準法の大改正を施行したのである。その法律の発令は1年以上も前に発せられていたらしいが、実務者には具体的な法令として全く届いていなかったのが現状だった。

今年の4月頃、ある打ち合わせで、世間は建築基準法の改正でどうやらじわじわ騒いでいるらしいという話が持ち上がった。我々のような小規模設計事務所までその余波は届かない。5月中に確認申請をおろさなければならない木造3階建ての申請時、民間審査機関の担当者が教えてくれた。
「6/20の施行時までに着工しないと大変なことになるよ。」
微妙だったので、「それはいかに?」と。私。
担当者。しかじか。うんぬん。
では、杭に関しては変更もあるかもしれませんので、6/20以前に軽微な変更を申請します。と私。結果。無事に軽微な変更を済ませ、5月末着工に至ったのである。

この頃はまだ。ことの大変さを知らずにいた。それは世間一般的にはまったく知られていない、かつプロの間でも噂しか流れていない事項だったからである。
7月末。四号建築物(木造2階建て。500?未満)と三号建築物(木造3階建て等)の確認申請案件を抱えていた。どちらかを先行させて確認申請を出さなければならなかった。三号建築物の方は予算と工期の制約もあり、2階建て案を勧めてみたが建て主は確認申請上先行き不透明な3階建て木造を選択した。私はそれに異議を唱えなかった。(申請手続き上のことで、一生住む家のことを決めてはならない。と思うから。。。。)

 まずは四号建築物の確認申請。お盆前にぎりぎり提出。それも提出間際になって、フラット35を使うかもしれないと建て主が言ってきた。それは昔で言う「住宅金融公庫」を使うということ。申請書類も手続き機関もすべて違う。それを建て主に伝え、方針を待つ。結果。しばらくして民間金融機関で資金をまかなうと言う連絡が入り、方針が決定する。この方針決定は大きい。どういうことかというと、フラット35の設計審査は行政では行っていないので、おのずと民間審査機関に確認申請と設計審査を出すことになる。その手数料は、2倍以上違う。はたまた、建築基準法大改正後の審査である。何度再申請させられるかわからない。ちまたでは、建築基準法に適合しないといままで何の問題もなくできていた図面訂正や誤記訂正はできなくて、すべて再審査(=申請料もその都度必要)と言われていた。審査期間は早いが申請手数料が高価な民間よりも、行政に確認申請したいと考えていた。それは、事前に調査に行っていた行政の建築主事が気持ちよく対応してくれたことが大きい。私が読み込んでいた6/19発令国土交通省の省令130号の分厚い官報を一緒に勉強しよう!と言ってくれたことが大きかった。加えて、何度も再申請させられても、建て主にその費用を請求できるわけはないという意識が働いていたのは言うまでもない。2回程度行政に再申請をするのと民間検査機関に一度申請するのは同じ費用で済むからだ。

ここから備忘録。
やはり、この建築基準法大改正による確認申請の伝統芸能は経験者のみが独り占めするノウハウではなく建築設計者が広く一般的に共有するものだと思う。それは建て主に結果的に設計料の負担増を強いることになりえる要素でもあるし、建築業界にとってもその方が良いと思うからだ。6/20の法改正施行以降、確認申請がおりなくて着工件数ががくんと減っているらしい。銀行の融資件数も落ち込んでいるらしい。そんな状況の中、建築業界が一丸となって国土交通省に働きかけていかなければならない事態になっているのだ。そのために、是が非でも確認申請の実務的なノウハウは関係者でオープンにしていく必要があると思う。

○まずは  平成19年6月19日(火) 官報 号外第130号 を熟読すべし。

 建築基準法、建築基準法施行令なども新しくなったのですべて熟読要。
 一級建築士を取った頃以上に赤本は読み込む必要がある。
 これは最低限、四号建築物(木造2階建て。500?未満)でも必要。
 木造3階建てを申請するとなるとまったくこれだけでは歯が立たない。

○建築基準法解釈(以前の問題...

先行した四号建築物(木造2階建て。500?未満)は神奈川県土木事務所に申請した。その事前チェックの際に「隣地境界線」を「敷地境界線」に書き直すように指導された。私は「道路境界線も敷地境界線と書くのですか?」と聞くと○△□(うにゃむにゃ)と返事。「官報の中には隣地境界線という単語がありません。従って、隣地境界線ではダメなのです。敷地境界線と書いてください」
一昨日、建築基準法改正後希少な木造3階建ての確認申請を決済をしたという実績のある民間の検査機関に三号建築物(木造3階建て等)の申請に行くと「敷地境界線?ダメですよ。これは。敷地境界線という枠の中に隣地境界線と道路境界線があるので、民有地との境界は隣地境界線と書いていただかなければなりません。」(はあああ?
「いやいや。官報の中には隣地境界線という言葉が一切なかったので、それは敷地境界線と書いてくださいと行政にて訂正させられました。ここから0.5Kmも離れていない県土木ですよ。指導してきたのは。(苦笑」
はっきり言って、本末転倒だ。建築内容の審査ではなく、形式の統一化にこだわるあまり、審査する方も方向を見失っている。これは法の解釈の問題と言うより、審査する側の保身の程度が結果に表れるというもっとも悲しい状況になっていると言わざるを得ない。
良い建築を造ろうよ!なんていう建築家の気持ちは全くもっておきどころがない。建て主からもプロなのにどうしてそいういう切迫している状況を建て主に報告しなかったのだと詰問されている。美しい日本。こんな建築行政によってずたずたになっているということを総理は知っているのだろうか。内閣改造を見る限り、国民の真意は本当にわかっているのかと言わざるを得ない。F柴さん。たのむよ。今度こそは、みんな、困ってるよ。


○認定証の添付

防火関係のことは、真剣に考えざるを得ない。近隣との離れが3〜5M以上無いような住宅地で家を造るとなると火災時のことを考えないわけにはいかない。そのために燃えない材料で家を造ってくださいという法律は理解できる。我が家のそばで火事が起こったときに燃え移らないでくださいと祈りながら3階から火の粉を見ていたことを思い出す。ほんとに怖かった。だから、今でも木の外壁が好きなのですという建て主には誠意を持ってお勧めしていない。街の中で建築する際、外壁材などについては、すべて国が認めた燃えない材料、工法を使うことになる。6/20以降の確認申請では、これらの材料はすべて認定証を添付することになった。すべてについて添付する。すごいコピー量だ。
また、シックハウス関係のF☆☆☆☆の認定証も必要であり、これもすごい量。
はたまた、木造3階建ての場合は、使用する建材のJAS規格、金物のJIS規格、もすべて添付。6/20以降コピー会社のカウンターはうれしい悲鳴をあげていると思う。

○建築基準法以外の法令

一昨日三号建築物(木造3階建て。200?未満)の事前申請を受けてきた。民間審査機関。水道法、下水道法、ガス事業法、に基づく構造詳細図、電気関係設備図、構造詳細図、いままで必要なかった認定証や図面関係が一式必要になる。法改正後これから木造3階建てを申請する人は絶対押さえておくポイント。この内容は工事が終了してはじめて決まる仕様や図面関係を確認申請時に提出せよと言うことであり現実的ではない。まったくもって今回の基準法改正は実務者からすると納得できない。が。申請時に必要。。。何故、そこまで申請者に明示を要求するのか?決済する側の保身。つまり、国の保身ではないのかと思ってしまう。美しい国とはこんな国だったのか。シックハウスに関する建築基準法の改正時(平成12年)も、換気扇を24時間付けっぱなしにすればオッケーという国の方針に唖然としたが今回はその比ではない。書類でがんじがらめにしてそれでオッケーと言うことなのだ。


今のところは誰に対して文句を言っても仕方ない。申請側も審査する側も6/20の法改正に従うしか無い。が、明文化されているおおやけになった指針はどこにもない。従って申請側、審査する側誰、誰もが皆右往左往している状況だ。一日も早く皆が共有できる運用マニュアルが周知されることが解決の一歩だと思うがそれの整備まで実質的に被害を受けるのは建て主であるということは国土交通省の大臣は理解しているのだろうか。現場レベルの話で言うと、内閣改造している場合ではない。一刻も運用指針を出さないと、建設関係、金融機関、そして生活者が困ってしまうことを理解いただきたい。


設計関係者のみなさん、情報を共有しましょう。
特に木造3階建ては、確認申請を受け付けていないところもあると聞きました。
とにかく私は一件おろすために必死にもがいております。
情報を共有することでこの事態を打開していきましょう。
メールやコメントをお待ちしております。
私が知っている情報は惜しみなく提供いたします。


ちなみに木造3階建ての確認申請を降ろすのに強い味方はここ↓です。

http://www.j-eri.co.jp/dl/dl-k_01_b.html

この中の
【施行規則1条の3チェックシート(建築物用)】
をくまなくチェックして申請図書をそろえることが第一歩です。

▼ コメント(1)

インターネットを使わない手はない。
木造3階建てに必要な建築基準法以外の条文先をお知らせしておきます。

● 水道法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO177.html

● 下水道法

http://www.houko.com/00/01/S33/079.HTM

● ガス事業法

http://www.houko.com/00/01/S29/051.HTM

活用してください。

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