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■ 概要

所在地/神奈川県三浦郡葉山町
主要用途/専用住宅
家族構成/夫婦+犬(黒ラブラドール:丼君)

■ 設計

生活空間研究所
担当 佐山希人 鈴木香住
構造 高橋建築設計事務所 担当 高橋一浩

■ 施工

成幸建設
監督 宮原成幸 岩田健一 小崎太
大工 浅利工務店 担当 浅利 健
板金 高橋板金  担当 高橋ポン太
建具 辰巳屋興業 担当 鈴木洋
設備 オサダ管工 担当 長田一彦
電気 郡山電設  担当 井上 上野

■ 工程

設計期間 2006年12月〜2007年5月
工事期間 2007年6月〜2007年10月

■ 設計趣旨

建て主は家族である黒ラブ丼(どんぶり)君との生活歴史を残したいと考えた。すまいをつくろうとする動機は人それぞれ。丼君のお父さんお母さんは、一緒に暮らした足跡をすまいに刻むことを望んだ。それは丼君に悪性腫瘍が見つかったときに決心された。まず土地を探すこと。都内の多摩川沿いに住んでいた丼君家族。都内とつかず離れずの関係を保てる葉山界隈に照準を合わせた。土地探しから私も協働。張り巡らされたアンテナに引っかかる物件が現れては一緒に現場に行く。何度も繰り返される。突然メールが入る。『決めました!住所は...』当事務所から歩いて5分。縁は意外なところに転がっていた。

その土地は海と富士山が見える葉山でも希有な場所。そこに丼君との終の棲家を計画することになる。丼君の希望は悪性腫瘍が再発しない健康的なすまい。お父さんは大きな本棚と薪ストーブ。お母さんはラスティックなシンプルさ。私はこれらの希望を丸ごと受け止め誰がどこにいても気配を感じられる3.5層のワンルーム空間とした。内部建具はトイレとバスルームのみ。約30坪強のワンルーム。玄関脇の縦動線である階段室を軸に空気がつながったそれぞれの個室が展開する。それぞれの空間で気配は感じるが見えないようにしつらえた。この縦に折り重なるワンルームは、夏の風通しを縦横無尽にし、冬の暖房効果を助長する。それはエアコンに頼らない丼(器)を目指している。

黒ラブ丼君は常に素足。針葉樹の無垢板は傷はつきやすいがその分ひっかりがあり丼君にはやさしい。つるつると足が開くこともない。針葉樹の中でも松は少し堅めだが人間の素足にもやさしい。冬でも素足で過ごせる。打ち合わせは2006年の冬に始まった。冬に計画を始める場合はほとんど薪ストーブの健康性に魅了される。それは当事務所の打ち合わせスペースに薪ストーブがあるから。丼君のお父さんももれなく薪ストーブ導入を決意。また、伐り旬の12月20日頃基本計画をしている建て主は私の環境トークにやられて一緒に山に行くことにもなる。業界的には東箱根、一般的には南足柄の山にシンボルツリーを探しに行く。まだ基本設計もできていないがシンボルツリーを求めて山にはいる。自分のすまいに使われる材料を自分の手で探しに行く。その意識がある人にとってこのプロセス、現在ではたいそうなごちそうだ。

すまいづくりの中で如何にエコロジカルな視点を入れられるかが私の課題。化石エネルギーに頼らない。できるだけ自然エネルギーですまいを構築する。職人さん、材料、デザインもできるだけ現地調達。リサイクルできる材料はできるだけリサイクルする。また、再生可能な材料を使いながら、すまいを構築する。この丼君のすまい。木造3.5階建て。主要構造材の木は伐りだしても植林すれば早期再生可能な優秀な建築材料。駐車場の床にも、擁壁に使われていた大谷石のリサイクル材を使った。もったいないから使い倒す。また再生するから使う。家族の歴史を刻みたいから無垢材を使う。これからのすまいのありかたはいろんなところに可能性がある。
(記:佐山希人)

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