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私は薪ストーブを暖を採るための実用的な生活道具として位置づけている。が。私にすまいの相談に来られた方に薪ストーブを薦めることはしない。ものずきでないと扱いにくいからだ。しかしながら、約4割近くの方が導入されるのも事実。未利用資源である街路樹などの伐採木を暖を採るためのエネルギーとして利用することは、『化石エネルギーを少しでも使わない』あるいは『再生可能な資源に頼る』という点においてこれからのあるべき姿のひとつでもある。それでは、木であれば何でも良いかというとそうでもない。

薪ストーブを導入する際に「できるだけ杉やヒノキの針葉樹は使わないようにしてください」とアドバイスする。私の経験からくるアドバイスなのだが、やはりはじめて使う方にはぴんと来ないようだ。一度や二度失敗、あるいは痛い思いをしなければ体に染みつかない。そんな私も、広葉樹系の薪が残り少なくなったので、倉庫に眠っていた松を引っ張り出し、広葉樹と一緒に焚いた。針葉樹を薪に使ってはいけない第一の理由は『高温になりすぎること』。鋳物でできた薪ストーブを針葉樹の高温で壊してしまうのだ。あまりにも温度が上がりすぎて、薪ストーブが割れてしまう。それと燃焼時間が少ない。あっというまに燃え尽きてしまう。良いところがないのが針葉樹の薪。

知ってはいるものの、背に腹は替えられず松を焚いた。広葉樹と松を半々。これでよかろうと1週間ほどが経過した。なにやら煙のヌケが悪くなった。外は風が強いのでそのせいかと様子を見る。煙突にススがたまってヌケが悪くなったかと煙突もチェック。そうでもない。理由がわからない。ふと、二次燃焼させるための触媒(キャタリックコンバスター)の様子を見た。なんと、セラミックの煙道がススでつまっており、まったく煙が通らなくなっていた。そのうえ、高温が原因のセラミック劣化が起こっていた。煙が抜けないわけである。煙の道がふさがれて、かろうじて破壊された触媒の隙間から煙突に絞り出される状態なのだ。抜けきれない煙は室内に。煙が逆流する原因はわかった。早速掃除。その原因を作ったのは、まぎれもなく針葉樹。広葉樹に比べ、良く乾燥させても樹液が多い針葉樹からでた気化した樹液が悪さしていたのだ。以前、杉ばかりを焚いていた友人が、煙突トップの鳥除けネットにススがたまって困るという相談を受けたことがある。原因は『杉を焚くことにあるとおもいますよ』とアドバイスしていた。忘れていた。身をもって知ったので、今後は『過高温』『小燃焼時間』にくわえて『樹液のいたずら』の3点セットでアドバイスしていこう。知識が知恵になったのである。


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ススで詰まってしまった触媒。
右上が壊れかけている。
広葉樹だけ焚いているとこのようなことは無い。











090202-02.jpgきれいに掃除する。すると、セラミックが一部すっかりぼろぼろになっていた。
来シーズンは交換しなければならない。
今シーズンはだましながら使い倒す。
最近は、この触媒方式ではない「クリーンバーン方式」の薪ストーブを薦めることが多い。
触媒方式の方が、同じ薪から取り出す熱エネルギーが大きいというが、この触媒1個上代30,000円するのでランニングコストがバカにならない。




090202-03.jpg触媒を格納するスペースの底も熱で破壊されている。この部品は消耗品なのでスペアは持っている。このアメリカ製のカナディアンAプラス(ダッチウエスト製)はとっくに生産中止しているが、まだ交換部品は手に入るのが良い。メンテナンスを繰り返し、道具を大切にするアメリカの精神がうれしい。
それにしても、針葉樹はいろんなところにいたずらをする。




090202-04.jpg火のまわりにくいところに壊れて穴の開いた触媒をセットする。
あと、2ヶ月ほどだましきることができるか。











それにしても、針葉樹の樹液、冒頭写真のようにストーブドアのパッキンにまでいたずらをした。樹液がこびりついてパッキンを本体にくっつけてしまった。ここ1週間ほど焚いた松は、築90年の家屋を解体したときの古材。我が家で倉庫保管10年。都合100年乾燥させても、針葉樹はストーブにとって天敵となるようだ。




▼ コメント(2)

お久しぶりです。
早く薪ストーブ復活させたいです(T_T)

クリーンバーン方式しか知りませんが、針葉樹も適切な使用をすれば十分使えるんですけどね。
広葉樹に比べれば神経を使うことは多いですが、煙突掃除以外1シーズン問題なく使えていましたよ。

高温対策は、くべる薪の量を多くしすぎないように(温度は薪の質量で決まるので)
タールも一緒に燃焼するように、適切な火力(吸気)で完全燃焼を心がけて運転する。
など。

車にたとえるとわかりやすいですが、
トルク重視の低回転型エンジンを高回転で回し続けたり、カリカリチューンのスポーツカーを低回転で走らせるとエンジントラブルの元に。
燃焼機械なので、共通するものがあるのでしょうか。

どもです。
薪ストーブはランニングコストを考えないで適正温度に空間をキープできるのが魅力ですね。

一口に薪ストーブといっても変数が多いので、たまたま針葉樹でもうまくいくこともあるし、うまくいかないこともある。それに比べて、広葉樹の場合は変数によらずうまくいくことが多いということでしょうか。

変数は、ストーブの性能(一次燃焼タイプ、二次燃焼クリーンバーンタイプ、二次燃焼触媒タイプ、四次燃焼クリーンバーンタイプ…)、煙突の性能(シングル、断熱、トップの形状)、燃やし方(炎を見る、低温微焚き)、設置場所の周辺環境(孤立住居、都市型住居)。などなど。

クリーンバーン+トップの鳥除けネット無し+炎を見る+孤立住居であれば、きっちり針葉樹の樹液を気化させて煙突から勢いよくはき出してしまえばおそらくトラブル少なくいきますよね。
でも、これらの条件のひとつでも変わるとトラブルが起こりそうですね。勢いよく気化させた樹液が煙突から無事に出たとしても、いずれ空気で冷やされて固化する訳なのでどっかにそれが落ちる。都市型住居の場合はすこしやっかいですよね。
そうなると、針葉樹よりはしっかり乾燥させた広葉樹を選択せざるを得ない。
それを老婆心ながらアドバイスするということになりますねえ。


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