私はこの平面の斜線部に12年住んでいる。さらにそのスペースを仕事場にしているため外出時以外はほとんどそこで過ごしている。その長い時間を掛けた経験からあることに気がついた。この斜線部以外のスペースと斜線部の温度が格段に違うのである。断熱性能は両サイドに空間があるためかなり高性能。というよりも、外気温の影響はほぼ皆無。くわえて、夏でも靴下をはかないと冷え性になるくらい常に微風が吹いているのだ。もともと、葉山の海のそば、山のヨコという海山エッジの立地であり、海風山風の影響で外気は一日中動いている。そこにロート状の平面を置いたので、斜線部は外気の流れが急速的に加速する場所になったようだ。両サイドの矩形のスペースにも開口部はあるが風の入り方が全く違う。よって、真夏でも冷房は全く不要。小さな扇風機がひとつあるだけ。やせ我慢しているわけではない。 現在この貴重な経験をすまいの計画に生かそうと試行錯誤している。その目的はエアコンに頼らない地球にローインパクトな生活を建築計画で実現するためにである。
現在工事中の宇都宮M邸。第一案のコンセプトプランを提案した時点でデザイン意図を理解され、そのまま実施案まで突き進んだ。あるとき、施主のMさん。「オリフィスですね。このプラン」と話された。私はその理論を知らなかったのでいろいろと調べてみた。なるほど。と。合点がいった。
【オリフィスとは】...百科事典マイペディアの解説
流体の吹き出る孔。通常薄刃状の縁をもつ円形オリフィスを使用,管路の途中や端部,または容器の底や周壁に取り付ける。流体がこれを通過すると噴流となり,オリフィスの入口側にくらべて流速は速く,圧力は下がる。
私はMさんにこの『オリフィス』をデザインキーワードに使っても良いかと打診。「よろこんで!」と快諾。よって、この住まいが『オリフィス・エコロジー』の第1号となる。原型は私の事務所兼すまいの「葉山。木・風・猫の家」だ。
【オリフィス・エコロジー No.1 宇都宮】
【オリフィス・エコロジー No.2 墨田】
【葉山。木・風・猫の家】
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